秦良玉

秦良玉（しん りょうぎょく、1574年1月24日 - 1648年7月11日）は、明朝末期に活躍した傑出した女性軍人です。字は貞素。彼女が率いた軍は、トネリコの木で作られた槍を使用したため、「白杆兵」と呼ばれ、その勇猛さで恐れられました。武力に優れていただけでなく、教養も深く、詩文をよくしたと伝えられています。秦良玉は、中国の正史に列伝を持つ唯一の女性武将としても知られています。

生涯

秦良玉は、重慶府忠州（現在の重慶市忠県）の出身です。成長すると、石砫を治める宣慰使であった馬千乗と結婚しました。1599年、楊応龍の乱が発生すると、夫と共に軍を率いて鎮圧に参加。自らも500の兵を指揮し、南川での戦いでは一等功を上げました。しかし、夫の馬千乗は後に無実の罪で獄死し、その後は秦良玉が石砫を統治することとなりました。

1621年、後金の侵攻に対抗するため、秦良玉は兄の秦邦屏と弟の秦民屏と共に遼東を守り抜きました。この戦いで兄の秦邦屏は戦死しましたが、秦良玉は朝廷に対し、秦邦屏と遺族への保障を願い出ました。その結果、秦邦屏は都督僉事を追贈され、その官位は遺族に世襲されることになりました。

同年、四川で奢崇明が反乱を起こすと、秦良玉は反乱軍からの誘いを拒否し、使者を斬り殺しました。その後、秦民屏や秦邦屏の子である秦翼明、秦拱明を率いて反乱鎮圧に出陣。四川の地を平定しました。

1630年、後金の軍勢が明に侵攻した際、各地の勢力が崇禎帝の勤王令に応じない中、秦良玉は私財を投じて軍を率い、京の救援に向かいました。この忠義に感銘を受けた崇禎帝は、秦良玉とその率いる白杆兵を讃え、4つの詩を贈りました。秦良玉は、これらの詩と恩賞を受け取り、四城の回復を命じられて帰還しました。その後も、秦良玉は数々の賊を討伐しました。

1640年、大量虐殺で知られる張献忠と戦いますが、苦戦を強いられました。これは、敵の兵力が多かったことに加え、味方の武将が秦良玉の戦略を採用しなかったことも要因でした。最終的に、四川は張献忠に支配されることとなりました。

1644年には、李自成の反乱により崇禎帝が自害し、明が滅亡しました。しかし、秦良玉は亡命政権である南[[明]]の弘光帝に仕え、官爵を得ました。そして石砫に立てこもり、1646年に張献忠が死ぬまで戦い続けました。

秦良玉は、その武勇と忠義から、明朝末期の混乱期において一際輝く存在でした。

関連項目

李自成

外部リンク

明史、秦良玉伝の和訳

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