移動局 (電波工学)

移動局とは

移動局とは、電波工学において、移動しながら無線通信を行う無線局全般を指します。私たちの身の回りには、様々な種類の移動局が存在し、日常生活や社会活動に欠かせないものとなっています。

移動局の種類

移動局には、以下のような様々な種類があります。

船舶局: 船舶に搭載された無線局。
船舶電話: 船舶間で利用される電話。
インマルサット: 衛星を利用した船舶、航空機向けの通信システム。
航空機局: 航空機に搭載された無線局。
業務無線局: 業務用途で使用される無線局。タクシー無線、警察無線などが含まれます。
タクシー無線: タクシー業務で使われる無線。
第三者無線: 公共サービスや地域コミュニティ向けの無線。
携帯電話・PHS: 個人が携帯する無線通信端末。
コードレス電話の子機: コードレス電話の親機と通信する端末。
アマチュア無線: アマチュア無線家が利用する無線局。

これらの他にも、様々な種類の移動局が存在し、私たちの生活を支えています。

移動局の特徴

移動局には、固定局とは異なるいくつかの特徴があります。

通信手段の制約: 固定局は有線回線などの電波以外の通信手段を持つ場合がありますが、移動局は基本的に電波のみが通信手段となります。そのため、移動局は無線局の大半を占めています。
アンテナの特性: 移動局は向きが不定であるため、全方向に対して電波を送受信できる無指向性アンテナが用いられることが多いです。また、アンテナ形状に制約を受けることが多く、一般的にアンテナの性能は低い傾向にあります。垂直偏波のモノポールアンテナがよく使われます。
電源の制約: 商用電源が使えないことが多いため、送信出力が低いことが多く、通信エリアが狭くなりがちです。そのため、中継技術が発達してきました。
フェージング: 周波数が高くなるほど、地形や建物などの影響で電波が干渉し合い、フェージングという現象が起こりやすくなります。これにより、電波の強度が大きく変動し、通信状態が不安定になります。この問題を解決するために、ダイバーシティアンテナなどの技術が用いられます。近年のデジタル技術の発展により、通信の安定性は飛躍的に向上しました。
電界強度の変動: 移動により、通信相手との距離が変化するため、電界強度が大きく変動します。そのため、無線機の受信部には広いダイナミックレンジが求められます。
耐久性: 無線機には、振動や衝撃に対する耐久性（耐振動性）が求められます。また、防水性や防塵性が要求される場合もあります。
不法無線局の問題: 不法に開設されたり、違法な運用が行われる移動局は、摘発が難しく、社会問題となっています。不法無線局や違法無線局の多くは移動局です。

移動局に関する略称

MS: 携帯電話
PS: PHS
OBE: ETC

関連事項

* 移動体通信: 移動局を用いた通信全般。

もう一度検索