稀音家浄観

稀音家 浄観の歴史とその業績

稀音家浄観（きねや じょうかん）は、日本の長唄三味線方における名跡の一つであり、初代と二代目の二人がそれぞれの時代に重要な役割を果たしました。共に文京区の護国寺に墓所を持ち、彼らの業績は日本の伝統音楽に大きな影響を与えています。

初代 稀音家浄観

初代稀音家浄観は、天保10年（1839年）に生まれ、本名は杉本観太郎でした。父は初代住田又兵衛であり、彼は1853年に初代杵屋六四郎の門弟として修行を開始しました。1856年には中村座で初舞台を踏み、杵屋四郎治の名で活動を始めました。

やがて、1869年には家元から大薩摩名浄観の称号を与えられ、1870年からは6代目杵屋三郎助として名を改めました。1902年には4代目杵屋勘五郎を襲名し、その後1908年に現名の稀音家浄観を名乗ります。彼の代表作には「晴天の鶴」があり、その影響は今なお受け継がれています。実の子孫には2代目稀音家浄観があり、さらに孫や曾孫も音楽界で活躍しています。

二代目 稀音家浄観

二代目稀音家浄観は、1874年に東京市神田で生まれ、本名は杉本金太郎でした。彼は初代の実子として、長唄の道を引き継ぎました。1888年には3代目杵屋六四郎を襲名し、1926年には「稀音家」と改称しました。彼は4代目吉住小三郎とともに長唄研精会を設立し、長唄演奏の独立に向けて重要な一歩を踏み出しました。

1929年には東京音楽学校に長唄の選科が設けられ、二代目浄観は講師としてその講座を担当しました。その後、教授に昇進し、1939年にはその名を長男に譲り、2代目浄観を襲名します。1944年に退官した後も音楽界に貢献し、1955年には文化勲章を受章し、文化功労者となりました。彼の妻は柳橋「若松屋」の元芸妓であり、彼の音楽活動を支えました。

音楽作品

二代目の代表作には「熊野」「横笛」「元寇」などがあり、これらは今日でも多くの音楽愛好者に親しまれています。彼は他にも数多くの楽曲を手がけており、その中には「酒」「春雨」「笑」などがあります。また、吉住小三郎との合作による作品も多く、新しい音楽の創造に貢献しました。

長唄の発展に大きな足跡を残した稀音家浄観の業績は、伝統音楽の中で今後も語り継がれていくことでしょう。初代と二代目が築いた音楽の世界は、日本の芸能文化において欠かせない存在となっています。

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