稲叢山

稲叢山（いなむらやま）

稲叢山は、四国山地の西端に位置し、新日本百名山および四国百名山に名を連ねる自然遺産です。山の名は、頂上付近が稲を模した草に覆われていることから来ています。この山は、その雄大な姿と多様な自然環境から、多くの登山者や自然愛好者に親しまれています。

概要

稲叢山は、垂直に切り立った絶壁が視覚的に印象深く、「鬼城山」とも呼ばれています。この山は急峻な斜面とそれに伴う登りごたえが特徴で、登山道の途中には鎖を使って登る「鎖場」が点在しています。山腹には豊かなブナ林が広がり、特に5月には美しいアケボノツツジが咲く様子が楽しめます。このような自然の景観は、訪れる人々に癒しを与えてくれます。

さらに、稲叢山の周辺には平家の落人伝説が伝わる場所があり、山頂にはその伝説に由来する祠が祀られています。この山の南西には戸中山（1,261m）がありますが、その麓には名を残す戸中村があり、かつて江戸時代には内番所が設けられていました。戸中地区は、安徳天皇がひっそりと過ごしたと言われる伝説で有名で、昔は吾川郡に通じる街道筋の一部であり、多くの難所が存在しました。この地方は「木の根三里」とも称され、道の難しさを表現しています。しかし、現在では多くの部分が大橋ダムに沈んでしまいました。

山頂には「稲村ケ台」と称される二等三角点が設置されており、南東側の山腹には稲村ダムが存在します。頂上からの眺望は優れ、石鎚山、瓶ヶ森、笹ヶ峰などの石鎚山脈の山々や太平洋の広がりなどが見渡せます。

登山ルート

稲村ダムの建設以前は、稲叢山は簡単にアクセスできる場所ではなく、登山者には人を寄せ付けない厳しい山と考えられていました。しかし、ダムからの洞窟ルートや小道ルートが整備されたおかげで、現在では手軽に登ることができるようになりました。これにより、多くの人がこの自然の驚異にアクセスして、四季折々の風景や豊かな動植物を楽しむことができるようになっています。

全体を通じて、稲叢山はその景観だけでなく、歴史や伝説も織り交ぜた独自の魅力を持っています。登山を通じて、自然の美しさとともに日本の歴史を感じることができる場所です。多くの方がこの山を訪れ、その魅力に触れることを願っています。

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