稲沢市図書館

稲沢市図書館

稲沢市図書館は、愛知県稲沢市にある複数の公共図書館の総称です。2005年の旧稲沢市、祖父江町、平和町の合併により、現在の稲沢市が誕生し、図書館も3館体制となりました。具体的には、稲沢市立中央図書館、稲沢市立祖父江の森図書館、稲沢市立平和町図書館の3館です。

歴史

中央図書館

初期（1967年 - 1975年）

1955年、旧稲沢町を含む1町3村が合併し、新稲沢町が誕生。その後、人口増加と財政規模の拡大に伴い、1958年に稲沢市となりました。1959年には、愛知県立図書館の移動図書館が巡回を開始し、1965年には稲沢市独自の移動図書館事業が始まりました。1967年には、愛知県稲沢農業改良普及所の2階に稲沢市立図書館が開館。当初は小学4年生以上が利用対象でしたが、利用者は年々増加し、1970年には1966年の2.6倍に達しました。

1971年には、図書館は旧市庁舎2階に移転。1972年には、稲沢ライオンズクラブからコピー機が寄贈されました。同年、旧市庁舎の取り壊しに伴い、図書館は旧中央毛織社員寮に移転し、一時休館を経て仮開館しました。

国府宮団地時代（1975年 - 2006年）

1975年、稲沢市は日本住宅公団と連携し、国府宮団地内に総合文化センターを開設。その1階と地下1階に稲沢市立図書館が移転しました。この新しい図書館には、ブラウジングコーナーや閲覧室、視聴室などが設けられ、約170席が用意されました。開館当初から利用者は多く、開館後15日間で8,475冊が貸し出されるほどの人気でした。同年には移動図書館「おおぞら号」の巡回も開始され、10ステーションを月に2回巡回するサービスも始まりました。また、1976年には肢体不自由者への宅配サービス、1985年には視覚障害者への録音テープ郵送貸出も開始しました。

1988年にはコンピュータを導入し、1993年には利用者用検索端末を設置。1996年には開館時間を変更、2000年にはさらに細かく時間を区分しました。2002年には、尾張西部図書館運営協議会に参加する3市3町間での広域貸出も始まりました。しかし、国府宮団地内の図書館は老朽化が進み、規模も小さかったため、2004年度には一人当たりの貸出冊数が県内最下位に近い状況でした。

2005年、旧稲沢市、祖父江町、平和町の合併に伴い、稲沢市立稲沢図書館と改称。開館時間も3館で統一されました。そして2006年、国府宮団地の旧図書館は閉館し、新館への移転作業が行われました。

中央図書館（2006年 - ）

2006年、稲沢市民会館南側駐車場の一角に、新中央図書館が開館しました。この新館は、2003年から準備が進められ、日建設計によって設計され、総事業費は29億円でした。新館の開館時間は、2015年度から中央図書館のみ10時30分から19時30分に変更されました。2016年には、南極観測隊員を招いた講演会と写真展も開催されました。

平和町図書館

1986年、中島郡平和町に平和町立図書館が開館しました。2005年の合併により、稲沢市立平和町図書館に改称。2006年には、蔵書へのICタグ導入のため一時休館しました。

祖父江の森図書館

1995年、祖父江町の文化ゾーン「祖父江の森」に祖父江町中央図書館が開館しました。開館当初から利用者は多く、初年度の入館者数は13万人を超えました。1998年には広域貸出を試行開始し、2002年には正式に開始。2000年には貸出冊数が100万冊を突破、2001年には入館者数も100万人を突破しました。2005年の合併により、稲沢市立祖父江の森図書館に改称。2006年には、ICタグ導入のため一時休館しました。

移動図書館・公民館図書室

1975年、移動図書館「おおぞら号」の巡回を開始し、1年間で18,000冊以上が貸し出されました。その後、公民館図書室の整備が進められ、1987年に移動図書館は廃止されました。

施設

中央図書館

中央図書館は、日建設計による設計で、45万冊の収容能力を持ちます。自然換気システムや自然光を取り入れた照明システム、床下空調方式などが採用されています。一般閲覧室は落ち着いた雰囲気で、児童閲覧室は明るく楽しい雰囲気となっています。また、視覚障害者向けの対面朗読室も設置されています。図書館の隣には稲沢市民会館があり、駐車場不足が課題となっています。

祖父江の森図書館

祖父江の森図書館は、浦野設計が設計監理を担当し、前田建設工業・美吉建設共同企業体が施工しました。建物は2階建てで、イチョウの葉をモチーフにしたデザインが特徴です。1階には一般開架室、児童開架室、おはなししつなどがあり、2階には視聴覚室や学習室、和室などがあります。吹き抜け構造で開放感があります。

特色

大学図書館との提携

2013年より、稲沢市内にある名古屋文理大学と愛知文教女子短期大学の蔵書を取り寄せられるサービスを開始しました。専門書が豊富で、市民の学習ニーズに対応しています。

漫画本の充実

平和町図書館では、漫画本の充実を重視しています。蔵書の約4分の1が漫画であり、愛知県内でも突出した所蔵数です。漫画の貸出が図書館全体の利用を促進し、利用者数も増加しています。特に人気のある漫画は予約待ちになることもあります。

稲沢電車図書館

稲沢電車図書館は、1972年に開館した電車図書館です。名古屋市電の廃止車両を利用し、子どもたちに親しまれていました。老朽化や団地建て替えのため2003年に撤去されましたが、地域住民に愛された図書館でした。東京都日野市や東村山市にも同様の電車図書館が存在しました。

基礎情報

詳細は脚注、参考文献を参照ください。

外部リンク

公式ウェブサイト

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