稲田篤信

稲田篤信：近世文学研究の大家

稲田篤信氏は、日本の近世文学研究において重要な足跡を残した研究者です。1947年6月28日に生まれ、上田秋成、石川雅望といった近世読本の研究を専門としています。その学術的貢献は、首都大学東京名誉教授、二松学舎大学文学部教授という肩書きにも表れています。

生い立ちと学歴

愛媛県で生まれた稲田氏は、1971年に広島大学教育学部を卒業後、東京都立大学（1949-2011）大学院に進学。1981年に国文学専攻博士課程を単位取得満期退学しました。その後、富山大学教養部専任講師、助教授を経て、都立大学助教授、教授へと進み、2005年には首都大学東京教授に就任しました。2012年に定年退職し、名誉教授となられた後も、二松学舎大学特別招聘教授として教鞭を執られています。

研究分野と業績

稲田氏の専門は、近世読本を中心とした近世文学です。特に、上田秋成や石川雅望といった作家の研究に力を入れており、その作品の魅力や時代背景を詳細に分析しています。1993年には、「近世小説史研究 - 和文系読本の世界」で東京都立大学より文学博士の学位を取得されました。

著書と編著

稲田氏は、数多くの著書や編著を出版されており、その研究成果は広く公開されています。

主要な著書

『江戸小説の世界 秋成と雅望』ぺりかん社 1991
『名分と命禄 上田秋成と同時代の人々』ぺりかん社 2006

主要な共編著・校訂

上田秋成『雨月物語評解』高田衛と校訂、有精堂出版、1980　「雨月物語」ちくま学芸文庫
『秋成 語りと幻夢』有精堂出版(日本文学研究資料新集) 1987
鳥山石燕『画図百鬼夜行』田中直日共編 国書刊行会 1992
『[石川雅望]]集』[[国書刊行会] 1993
石川雅望『近江県物語』和泉書院(読本善本叢刊) 1994
『里見軍記 里見九代記 里見代々記』[勉誠出版] 1999
『都賀庭鐘・伊丹椿園集』木越治、福田安典共編 国書刊行会 (江戸怪異綺想文芸大) 2001
『雨月物語精読』勉誠出版 2009
* 『水滸伝の衝撃―東アジアにおける言語接触と文化受容』（アジア遊学）勉誠出版 2010

これらの著作は、近世文学研究における重要な参考文献として、多くの研究者や学生に利用されています。

稲田篤信氏の研究は、日本の近世文学、特に読本の世界を深く理解するための重要な手がかりを提供しています。その学術的貢献は、今後も長く評価され続けることでしょう。

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