稲荷町 (鹿児島市)

鹿児島市稲荷町について

鹿児島市稲荷町は、市の中央部に位置する、歴史と文化が息づく町です。この地域は、稲荷川の下流域に広がり、豊かな自然に恵まれています。人口は約1200人、500世帯以上が生活しており、地域全体で住居表示が実施されています。

地理

稲荷町は、北から東にかけて吉野町、東坂元、坂元町、南は清水町、西は皷川町と隣接しています。町の東端には国道10号と日豊本線が走り、交通の便が良いのが特徴です。また、鹿児島県道16号鹿児島吉田線が分岐しており、吉野台地方面へのアクセスも容易です。町の西端には鹿児島市立清水中学校があり、文教地区としての側面も持っています。

歴史

稲荷神社の由来

町名の由来となった稲荷神社は、もともと市来にあったものを島津忠国が勧請したとされています。天正年間に火災で焼失し、現在の場所に移転しました。江戸時代には、鹿児島城下の坂元村の一部であり、寺院と門前町が連なっていました。

稲荷馬場の賑わい

かつて稲荷馬場と呼ばれた通りでは、旧暦11月3日に流鏑馬の神事が行われ、同時に稲荷市が開かれていました。この市は、豊後国府内の浜之市、肥後国天草の本戸之市と並び、九州三大市の一つとして知られていました。稲荷市では、日用品、小道具、骨董品、武具、古着、古本など、様々な商品が取引されていたそうです。

町の成立と変遷

明治時代初期に、坂元村から分離し「稲荷馬場町」として成立しました。初期には士族が多く住む武家町でしたが、市制施行により鹿児島市の一部となり、1899年には「稲荷町」に改称されました。第二次世界大戦後には、一時的に十島村の仮役場が設置されたこともありました。

戦後の変化

1950年には鹿児島市立玉龍高等学校が設置されましたが、翌年には移転。その後、鹿児島市立清水中学校が跡地に移転しました。1968年には、町全域で住居表示が実施され、現在の形となりました。

現在の稲荷町

現在の稲荷町は、住宅地としての機能に加え、文教地区としての役割も担っています。町内には清水中学校や稲荷神社などの教育・文化施設があります。また、交通の便も良く、国道10号や日豊本線が利用できるため、生活しやすい環境です。

交通

町内には鉄道駅はありませんが、東端を日豊本線が通っています。かつては近くに清水町電停がありましたが、廃止されたため、現在は鹿児島駅が最寄りの駅となっています。

施設

• - 教育：鹿児島市立清水中学校
• - 寺社：稲荷神社、不動寺

著名な出身者

• - 玉利喜造（農学者、貴族院勅選議員）
• - 東郷青児（洋画家）

稲荷町は、その歴史的な背景と現在の生活が調和した、魅力的な町です。豊かな自然と歴史的な遺産が共存するこの地で、人々は穏やかな生活を営んでいます。

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