穂苅寿彦

穂苅 寿彦

1979年10月22日生まれ。元日本中央競馬会（JRA）の騎手であり、現在は美浦トレーニングセンターで調教助手として活動しています。

騎手としてのキャリアスタート

1998年、JRA競馬学校騎手課程の第14期生として卒業。この期には、後にGIジョッキーとして名を馳せる池添謙一騎手や、同じく障害競走で活躍した白浜雄造元騎手らがいました。

卒業後、和田正道厩舎に所属し、騎手としてデビュー。そのキャリアの始まりは鮮烈でした。1998年3月2日、初騎乗となったレースで見事に勝利を飾り、JRA史上38人目となる快挙を達成します。幸先の良いスタートを切った穂苅元騎手は、地方競馬においても、1999年12月15日に浦和競馬場で初騎乗（結果は7着）、翌2000年1月25日に同競馬場で初勝利を記録するなど、経験を積んでいきました。

試練と転換点

しかし、順調に見えたデビューイヤーに、大きな試練が訪れます。1998年4月11日、中京競馬場でのレースに騎乗する際、規定の負担重量を超過するミスを犯しました。検量時に意図的に馬具の一部を外して計量を行うという不適切な行為に及びましたが、レース後の再検量でその不正が明らかになりました。この一件により、騎手としての注意義務を怠ったと判断され、約1か月に及ぶ開催日9日間の騎乗停止処分を受けます。

この出来事を境に、騎乗機会は減少の一途をたどることになります。特に、減量騎手として有利な立場にあるデビュー後3年間を、十分な騎乗機会を得られないまま終えることとなりました。平地競走での騎乗数は伸び悩み、次第に活躍の場を障害競走へと移していくことになります。

障害競走での活躍と引退

障害競走に転身後、穂苅元騎手は頭角を現し始めます。特に、2006年と2007年には新潟ジャンプステークスを異なる騎乗馬（ストームセイコー、ミヤビペルセウス）で連覇するという偉業を達成するなど、着実に実績を積み上げました。その他にも、2008年にはヴリルに騎乗して障害オープン競走を勝利し、東京ハイジャンプで2着に入るなど、障害レースのジョッキーとして存在感を示しました。

しかし、騎手人生は予期せぬ形で幕を閉じることになります。2012年6月16日、福島競馬場でのレース中に落馬事故が発生し、負傷。これが現役最後の騎乗となり、そのまま競馬に騎乗することはありませんでした。そして、同年11月30日をもって、騎手生活にピリオドを打ちました。

調教助手としての新たな道

騎手を引退した穂苅氏は、新たなキャリアとして競馬の世界に留まりました。騎手引退に先立つ同年10月からは、当時所属していた新開幸一厩舎で調教助手として厩舎スタッフの道を歩み始めました。その後、2018年3月に新規開業した田中博康厩舎へ移籍。

田中博康厩舎では、その経験と知識を活かし、調教助手として馬づくりに貢献しています。特に、近年国内外の主要レースで活躍しているGI/JpnI競走複数勝利馬レモンポップをはじめ、多くの素質馬、活躍馬を手がけており、ホースマンとしてのセカンドキャリアを成功させています。

主な騎乗馬

ディバインシルバー（2002年 栗東ステークス）
ストームセイコー（2006年 新潟ジャンプステークス）
ミヤビペルセウス（2007年 新潟ジャンプステークス）
ヴリル（2008年 障害オープン、東京ハイジャンプ2着）

穂苅寿彦氏は、華やかなデビュー、試練、そして障害競走での活躍を経て騎手人生を終えましたが、現在は調教助手として日本の競馬を支えています。その豊富な経験は、今後の馬づくりにおいても大きな力となるでしょう。

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