穆皇后呉氏

穆皇后（ぼくこうごう）

穆皇后、呉莧（ご かん）は、三国時代の蜀漢の初代皇帝、劉備（りゅうび）の皇后であり、皇太后です。諡（おくりな）は穆皇后。彼女の生涯は、蜀漢の宮廷における重要な出来事と深く関わっています。

生涯

呉莧は、兗州陳留郡（えんしゅう ちょうりゅうぐん）の出身。幼い頃に父を亡くし、父と親交のあった劉焉（りゅうえん）に従って、母や兄の呉懿（ご い）、族弟の呉班（ご はん）と共に益州（えきしゅう）に移住しました。

益州へ移住後、人相見が呉氏を見て「将来、非常に高い地位に昇るだろう」と予言しました。当時、野心を持っていた劉焉は、この予言を聞き、自分の三男である劉瑁（りゅうぼう）の妻として呉氏を迎えました。しかし、劉瑁は早世したため、呉氏は若くして未亡人となりました。

建安19年（214年）、劉備が劉焉の子である劉璋（りゅうしょう）を降伏させ、成都（せいと）に入城した際、群臣たちは劉備に呉氏を娶るように勧めました。劉備は当初、「同姓不娶（どうせいめとらず）」という礼教の規定に反することを懸念しましたが、法正（ほうせい）の説得により、呉氏を夫人として迎えました。

建安24年（219年）、劉備が漢中王（かんちゅうおう）を名乗ると、呉氏は漢中王后に立てられました。章武元年（221年）に劉備が皇帝として即位すると、呉氏は皇后となりました。建興元年（223年）に劉備が崩御し、劉禅（りゅうぜん）が後を継ぐと、皇太后となりました。

建興12年（234年）正月、胡氏（こし）（劉琰（りゅうえん）の妻）が呉氏に年賀のため参内しました。呉氏は胡氏を1か月間宮中に滞在させた後、退出させました。しかし、高齢で判断力が鈍っていた劉琰は、胡氏が劉禅と密通したのではないかと疑い、胡氏に暴行を加えて離縁してしまいました。胡氏がこの件を訴え出ると、劉琰は逮捕され、投獄された後、公開処刑されました。

延熙8年（245年）8月、呉氏は崩御し、劉備の陵墓である恵陵（けいりょう）に合葬されました。

三国志演義における描写

小説『三国志演義』では、呉氏は劉永（りゅうえい）・劉理（りゅうり）の実母という設定になっています。

穆皇后は、蜀漢の歴史において重要な役割を果たした女性であり、その生涯は多くの物語や伝説に彩られています。

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