陳留郡

陳留郡（ちんりゅう-ぐん）

陳留郡は、中国にかつて存在した郡であり、前漢から唐にかけて現在の河南省開封市一帯に設置されていました。

概要

前漢時代の紀元前122年（元狩元年）に陳留郡が置かれ、兗州に属しました。当初は陳留・浚儀・小黄・成安・寧陵・雍丘・酸棗・東昏・襄邑・外黄・封丘・長羅・尉氏・傿・長垣・平丘・済陽の17県を管轄していました。紀元前41年（永光3年）には、皇子の劉康が済陽王に封じられたことに伴い、一時的に済陽国と改称されました。しかし、紀元前34年（建昭5年）に劉康が山陽王に移封されると、再び陳留郡に戻されました。

『漢書』によると、前漢末期には29万6284戸、150万9050人の人口を擁していました。

後漢時代になると、陳留郡は陳留・浚儀・尉氏・雍丘・襄邑・外黄・小黄・東昏・済陽・平丘・封丘・酸棗・長垣・己吾・考城・圉・扶溝の17県を管轄しました。190年（中平6年）には、勃海王劉協が陳留王に封じられたため、再び陳留国と改称されましたが、同年9月に劉協が献帝として即位すると、陳留郡に戻されました。

西晋の時代には、曹魏最後の皇帝である曹奐が陳留王に封じられ、再び陳留国が立てられました。この時の管轄は、浚儀・小黄・封丘・酸棗・済陽・長垣・雍丘・尉氏・襄邑・外黄の10県でした。しかし、永嘉の乱後、陳留国は後趙に占拠され、石虎の時代には建昌郡と改名され、洛州に属しました。338年（咸康4年）には、東晋によって譙郡の北境に陳留郡が再び立てられました。

南朝宋の時代には、陳留郡は初め兗州に属し、後に豫州や南豫州に所属が変わりました。この時期の管轄県は、浚儀・小黄・雍丘・白馬の4県でした。

北魏時代の494年（太和18年）に、陳留郡は一度廃止されましたが、孝昌年間に再び設置されました。この時は南兗州に属し、浚儀・小黄・穀陽・東燕・武平の5県を管轄しました。

東魏の時代には梁州が置かれ、陳留郡は梁州に属し、浚儀・小黄・封丘の3県を管轄しました。

北周の時代には、梁州が汴州と改称されたため、陳留郡は汴州に属しました。

583年（開皇3年）に隋が郡制を廃止した際、陳留郡も廃止され、汴州に編入されました。しかし、607年（大業3年）に州が廃止されて郡が置かれると、汴州は滎陽郡と改称されました。

621年（武徳4年）に唐が王世充を平定すると、滎陽郡浚儀県に汴州が置かれました。742年（天宝元年）には、汴州が陳留郡と改称されましたが、758年（乾元元年）に再び汴州に戻され、陳留郡の名称は姿を消しました。

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