突利可汗

突利可汗（Tölis qaγan）

突利可汗（テリス・カガン）は、7世紀前半に東突厥で活躍した人物です。始畢可汗の嫡子として生まれ、阿史那什鉢苾（あしな しゅうはつひつ）という名を持っていました。

生涯

602年に生まれた什鉢苾は、父である始畢可汗から早くからその才能を認められていました。隋の大業年間には、父から東牙の兵を任され、泥歩設（でいほ・シャド）という官名を与えられます。また、隋の淮南公主を娶り、隋との関係を深めました。

619年に始畢可汗が亡くなると、当時17歳と若かった什鉢苾は、国人たちによって泥歩設に任じられます。しかし、大可汗の位は叔父である処羅可汗が継承し、什鉢苾は東突厥の東部に住まうこととなりました。

620年、叔父の頡利可汗が大可汗に即位すると、什鉢苾は突利可汗に封ぜられ、小可汗として幽州の北に牙を建てます。東突厥の東部を管轄し、奚や霫などの数十部を従えましたが、重税を課したため、これらの部族からの不満を買うことになります。

624年、頡利可汗とともに唐に侵攻しますが、李世民の反撃を受けて撤退。その後、頡利可汗は突利可汗と夾畢特勤阿史那思摩を唐に派遣し、和睦を請います。この頃から、突利可汗は唐との関係を深めていきます。

627年、突利可汗の重税に不満を持った薛延陀や奚、霫などが東突厥から離反し、唐に帰順します。これに怒った頡利可汗は、突利可汗を捕らえて鞭打ちの刑に処しました。同年、陰山以北の諸部が反乱を起こすと、頡利可汗は突利可汗に討伐を命じますが、敗北。このため、頡利可汗は突利可汗を十数日間拘束しました。これらの出来事から、突利可汗は頡利可汗に恨みを抱き、内心で謀反を考えるようになります。

突利可汗は、以前から太宗李世民と親密な関係にあり、兄弟の契りを結んでいました。そのため、629年、郁射設や蔭奈特勤らとともに唐に投降します。

630年、唐から右衛大将軍を授かり、食邑700の北平郡王に封ぜられます。また、順州都督となります。

631年、唐に召されて入朝する途中、并州で病死。享年29歳でした。太宗はその死を悼み、中書侍郎の岑文本に碑文を書かせました。子の賀邏鶻（がらこつ）が後を継ぎました。

妻子

妻：淮南公主
子：阿史那賀邏鶻

突利可汗の生涯は、東突厥の盛衰と、唐との複雑な関係を象徴しています。彼の決断は、東突厥の歴史に大きな影響を与えました。

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