竇徳妃

竇徳妃（とうとくひ）は、唐の睿宗（在位：684年、710年 - 712年）の妃嬪であり、玄宗皇帝（在位：712年 - 756年）の生母として知られています。彼女は竇誕の子である竇孝諶の娘で、唐の高祖・李淵の皇后である太穆竇皇后（太穆皇后）と同族にあたります。

生涯

竇徳妃は、睿宗が相王であった時代に入侍し、皇子の側室としての位である孺人に授けられました。光宅元年（684年）に睿宗が皇帝として即位すると、彼女は四夫人の一つである徳妃に昇格しました。睿宗との間に、後の玄宗となる李隆基、金仙公主、玉真公主を儲けました。

しかし、彼女の運命は武則天の時代に大きく翻弄されます。載初元年（690年）、武則天が自ら皇帝に即位し、唐朝を簒奪して周朝を建てると、睿宗は皇位を廃され、皇嗣という地位に格下げされました。武則天の侍女であった団児という者が、皇嗣の妻たちが武則天を呪詛していると誣告しました。長寿二年（692年）正月二日、竇徳妃は正妃である劉氏と共に新年を祝うために宮中に参内した後、消息を絶ちました。彼女は武則天によって秘密裏に処刑されたと考えられています。同じく側室であった唐孺人、崔孺人も皆殺されました。この事件に対し、睿宗は落ち着いた様子を装うことで、辛うじて難を逃れました。その後、睿宗の妃嬪で唯一生き残った豆盧氏と竇徳妃の妹が、彼女の遺児たちを養育しました。

唐隆元年（710年）、睿宗が再び皇帝として即位し、玄宗が皇太子に立てられると、竇徳妃は玄宗の生母として昭成皇后と追贈されました。しかし、彼女の遺体は発見されなかったため、招魂の儀式を行い、衣冠塚が設けられました。

竇徳妃は、唐朝の皇室に深く関わりながらも、政治的な陰謀に巻き込まれ、悲劇的な運命を辿った女性でした。しかし、彼女の息子である玄宗皇帝の治世は、唐朝の最盛期の一つとして知られています。彼女の生涯は、歴史の波に翻弄されながらも、次世代に大きな影響を与えた女性の物語として、後世に語り継がれています。

伝記資料

竇徳妃に関する記述は、『旧唐書』や『新唐書』などの歴史書に記録されています。これらの史料を通じて、彼女の生涯や人物像を知ることができます。

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