立山黒部貫光黒部ケーブルカー

黒部ケーブルカー

黒部ケーブルカーは、富山県中新川郡立山町に位置し、立山黒部アルペンルートの一部を構成する重要な交通機関です。このケーブルカーは、黒部平駅から黒部湖駅を結び、その全区間が地下トンネル内に敷設されているという特徴を持っています。正式な路線名称は鋼索線ですが、同じ会社が運営する立山ケーブルカーとの区別のため、一般的には「黒部ケーブルカー」という名称が用いられます。

概要

黒部ケーブルカーは、現存する日本の鉄道路線（索道を除く）の中で最も標高の高い場所を運行しています。雪害を防ぐため、全区間が地下トンネル内に建設されており、その特異な構造が特徴です。黒部平駅の標高は1828メートルで、日本の鉄道駅の中で最も高い場所に位置しています。一方、黒部湖駅の標高は1455メートルです。

路線データ

路線距離: 828メートル
軌間: 1067ミリメートル
駅数: 2駅（黒部平駅、黒部湖駅）
高低差: 373メートル
運転速度: 3.3メートル/秒
建設費: 14億円

運行形態

所要時間は約4.5分で、概ね40分間隔で運行されています。ただし、冬季は運休となります。

車両

使用されている車両は、汽車製造東京製作所によって製造されました。車体には軽量化のためにアルミニウム合金が使用されています。

車両スペック

定員: 131人（乗務員1人、立席32人、座席98人）
重量: 8.8トン（車体4.0トン、台車4.8トン）
車輪径: 550ミリメートル

全区間が地下構造であるため、側面からの車外への避難はできません。緊急時には、車両前面に設置された非常口から梯子を使って避難します。

歴史

前史

1965年3月31日：運輸審議会に「立山黒部貫光株式会社の鋼索式地方鉄道敷設免許申請」が諮問されました。
1965年4月30日：運輸審議会が「新丸山・黒部ダム左岸間0.7キロの鋼索式地方鉄道の敷設は、免許することが適当である」と答申しました。

開業後

1969年7月20日：黒部湖駅 - 黒部御前駅間が開業しました。
1970年：黒部御前駅が黒部平駅に改称されました。

駅一覧

黒部湖駅
黒部平駅

接続路線

黒部湖駅: 関電トンネル電気バス黒部ダム駅まで徒歩約15分
* 黒部平駅: 立山ロープウェイ

黒部ケーブルカーは、そのユニークな構造と、立山黒部アルペンルートにおける重要な役割から、多くの観光客にとって忘れられない旅の思い出の一部となっています。全線地下という珍しい構造を持つケーブルカーは、雪害を防ぎながらも、乗客に安全で快適な移動を提供しています。山岳地帯における交通手段として、その技術力と工夫が凝縮されたこのケーブルカーは、日本の鉄道技術の一つの象徴とも言えるでしょう。

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