立田輪中

立田輪中の概説

立田輪中（たつたわじゅう）は、愛知県の西部、木曽川の下流域に存在した輪中地域です。現在は愛西市の旧立田村および旧八開村の一部を含んでおり、地理的には木曽川と佐屋川に挟まれた約2キロメートルの幅に約12キロメートル延びる細長い形をしています。輪中の南西には福原輪中があり、南東部には梶島がある他、広義には神明津輪中も含めた場合、この区域全体を指すこともあります。

狭義の立田輪中と神明津輪中の間には間之川が流れており、江戸時代の末期には間之川が締め切られた結果、立田輪中が形成されました。輪中内部の中央には鵜戸川が南北に流れ、その役割は排水に使われていました。古来よりこの地域は水防のための特有の構造を持っており、立田輪中の管理は鵜戸川の西側と東側でそれぞれ異なる輪中が存在したことが知られています。

歴史的な背景

立田輪中の開墾については時期が不明ですが、12世紀の古文書には既に地名が存在していたことが確認できます。また、早尾から出土した土器や古墳群からも古代の人々がこの地域に住んでいたことが伺えます。14世紀にはこの地域に「大成荘」という荘園が存在し、堤防が築かれた記録も残されています。戦国時代になると、立田輪中にはいくつかの城が築かれたことも歴史の一部です。

立田輪中の形成

1574年、木曽川が大洪水により流路を変えたことで、今回の立田輪中が誕生しました。この頃、堤防は上流側が堅固に造られた一方で、下流側は十分な整備がなされず、尻無堤の状態でした。1594年には豊臣秀吉が堤防工事を命じ、その結果、御囲堤の形成に繋がります。この時期、地域の農民たちは水害への懸念から堤防の強化を求め、1624年には一円輪中が完成しました。

1659年には鵜戸川の排水が佐屋川から木曽川へと変更され、「十二腹の杁」という呼称が生まれたのもこの頃です。輪中内部の新田開発も活発に行われ、1635年には福原新田が設立されました。また、1724年から1726年にかけて行われた工事により、間之川が締め切られ、立田輪中と神明津輪中は陸続きとなりました。

明治時代の変化

1887年から1912年にかけて実施された木曽三川分流工事は、この地域に大きな変化をもたらしました。佐屋川が廃川となり、立田輪中の形状も大幅に変更されました。この工事では約250万立方メートルの土砂が掘削され、西部が新木曽川の河道となりました。新たな河道が形成されたことで、この辺りの土地が複雑な県境の形状を呈するようになりました。

その後も改善工事が進められ、1950年には最初の排水機が設置され、1976年には新しい施設が開設されました。これらの取り組みによって、かつての悪水問題は緩和され、立田輪中の農地は質の高いものへと転換していったのです。これにより、立田輪中は単なる地形以上の、地域農業の基盤としての重要な地位を確立したと言えるでしょう。

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