立花山

立花山：歴史と自然が織りなす山

立花山は、福岡市東区、糟屋郡新宮町、久山町に位置する標高367.1mの山です。複数の峰からなる山群で、その中でも最高峰の井楼山（せいろうやま、367.1m）が特に目立ちます。その他、松尾山（337m）、白岳（314m）などの峰があり、それぞれ異なる表情を見せてくれます。古くは二神山と呼ばれ、イザナギ・イザナミを祀っていたという伝承も残っています。

名称と地形

立花山は、7つほどの峰からなる山群の総称であり、最高峰を指すこともあります。最高峰は井楼山とも呼ばれ、北西には松尾山、その西には白岳が連なります。これらの峰々は、南西の香椎からは独立して見える三つの峰として、また北の新宮からは二峰の山として、その美しい姿を望むことができます。

クスノキ群落

立花山の大きな特徴の一つは、山腹に広がるクスノキの巨木群落です。数千本ものクスノキが生い茂り、樹高30mを超える巨木が600本以上も存在します。この規模は日本でも他に例がなく、原生林とも考えられていますが、一部に植林の可能性も指摘されています。クスノキ以外にも、タブノキやカゴノキなどクスノキ科の植物が多く見られます。

特に、立花山の東斜面にはクスノキの巨木が集中しており、立花口登山道からは巨木群生地へと続く道があります。6合目以上のクスノキは、1928年に国の天然記念物、1956年には特別天然記念物に指定され、その価値が認められています。また、2000年には特に大きなクスノキ「立花山大クス」が、林野庁の森の巨人たち百選に選ばれました。この大クスは、幹周り約8m、樹高約30mで、樹齢は300年以上と推定されています。

立花山城

鎌倉時代末期の1330年、大友貞載によって立花山に築かれた立花山城（立花城）は、中世を通じて軍事的に重要な要塞でした。特に、戦国時代には、博多の交易を見下ろす要衝として、多くの武将たちがこの地を争奪しました。戸次鑑連（立花道雪）や立花統虎（立花宗茂）といった名将も、この城を舞台に活躍しました。

1601年、福岡城築城の際に石垣が移築され、立花山城は廃城となりました。現在では、一部に石垣や古井戸が残るのみですが、当時の面影を偲ぶことができます。石垣は、井楼山から松尾山へ至るルートなどに点在しています。

登山

立花山は、手軽に自然を楽しめる山として、年間を通して多くの登山者で賑わいます。登山道は、北の新宮町立花口、西の東区下原などから整備されており、いずれも40〜50分程度で山頂に到達できます。

山頂は平坦で開けており、玄界灘や博多湾、福岡市街を一望できます。天候が良い日には、壱岐や沖ノ島まで見渡せることもあります。一方、松尾山や白岳は登山者が少なく、山頂は木々が生い茂り、眺望はあまり良くありません。

立花山と隣接する三日月山へは、長谷ダムや三日月温泉などからアクセスできます。井楼山からは尾根伝いに30～40分ほどで到着し、360度の眺望を楽しむことができます。特に、元旦の初日の出や花火大会の際には多くの登山者が訪れます。

アクセス

公共交通機関を利用する場合は、西鉄貝塚線西鉄新宮駅、またはJR九州鹿児島本線福工大前駅からマリンクス佐屋行きバスに乗車し、「立花小学校前」で下車します。そこから登山口までは1.3kmです。自家用車の場合は、九州自動車道古賀インターチェンジから登山口まで6kmで、駐車場も完備されています。

立花山は、豊かな自然と歴史が融合した魅力的な山です。ぜひ一度訪れて、その魅力を体感してみてください。

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