章懐皇后

章懐皇后（しょうかいこうごう）は、北宋の第3代皇帝である真宗の最初の正室であり、真宗が即位する前に亡くなりました。彼女は開宝元年（968年）に生まれ、端拱2年5月3日（989年6月8日）にその短い生涯を終えました。潘氏を姓とし、その出自については二つの説が存在します。

生涯

章懐皇后は、大名府大名県（現在の河北省大名県）の出身です。彼女の出自については、忠武軍節度使であった潘美（はんび）の八女であったとする説と、潘美の孫娘であったとする説があります。孫娘説では、潘美の子である潘惟熙（はんいき）と、趙徳芳（ちょうとくほう）の娘である興平郡主（こうへいぐんしゅ）の間に生まれた娘であるとされています。

雍熙2年（985年）閏9月、韓王（かんおう）であった趙恒（ちょうこう、後の真宗）に嫁ぎ、莒国夫人（きょこくふじん）となりました。しかし、端拱2年（989年）5月、若くして亡くなりました。真宗が皇帝に即位すると、彼女は皇后の位を追贈され、「荘懐（そうかい）」と諡（おくりな）されました。その後、彼女は保泰陵（ほたいりょう）に葬られました。慶暦4年（1044年）11月には、夫である真宗の諡を重ねて「章懐」と改諡されました。

伝記資料

章懐皇后に関する記述は、以下の史料に見られます。

『宋史』（そうし）真宗章懐潘皇后伝
『宋史』潘美伝
『潘氏家譜』（はんしかふ）
『宋会要輯稿』（そうかいようしゅうこう）

『宋史』真宗章懐潘皇后伝には、「真宗章懐潘皇后、大名人。忠武軍節度使美第八女。」と記されており、彼女が大名人であり、潘美の八女であったことが示唆されています。

一方、『宋史』潘美伝には、潘美の子である潘惟熙の娘が章懐皇后であると記されています。また、潘美が後に鄭王（ていおう）を追封されたのは、章懐皇后がいたためであるとも記されています。

大衆文化における形象

章懐皇后は、歴史物語や京劇などの大衆文化にも登場します。例えば、『楊家将』（ようかしょう）という物語では、潘妃（はんぴ）として描かれています。これらの作品における彼女の人物像は、史実とは異なる部分も多く、物語の展開に合わせて脚色されています。

章懐皇后は、若くして亡くなったものの、皇后として追贈され、その名が歴史に刻まれた女性です。彼女の出自には諸説ありますが、いずれにしても、当時の有力な家柄の出身であったことがうかがえます。彼女の生涯は、史料や大衆文化を通して、後世に語り継がれています。

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