潘

潘（はん、ばん、パン、ファン）

潘は、東アジアに広く分布する姓の一つです。中国、朝鮮、ベトナムを中心に、多くの人々がこの姓を名乗っています。各地域で発音は異なりますが、漢字は共通して「潘」を用います。

中国

中国では「パン」と発音され、『百家姓』の43番目に登場する由緒ある姓です。2020年の国勢調査によると、中国で36番目に多い姓であり、約719万人が潘姓を名乗っています。台湾では2018年の統計で31位、約16万人がいます。

起源

潘姓の起源には諸説あります。

周の季歴の末子、文王の末弟である季孫が「潘」と呼ばれる場所に封ぜられ、その子孫が潘姓を名乗ったという説。
春秋時代、楚が潘国を占領した際に、その一族が封邑を姓としたという説。これは羋（び）姓の潘氏に繋がります。
北魏の孝文帝の漢化政策によって、鮮卑族の破多羅（はたら）姓のものが潘姓に改姓したという説。
台湾原住民の間で潘姓が多いのは、漢族移住初期に原住民を「番」と呼んだことが転じて「潘」を名乗るようになったという説。

著名な人物

中国の潘姓の著名人には、以下のような人物がいます。

潘璋：呉の武将。
潘岳：西晋の文人。
潘美：北宋初期の武官。
潘毓桂：中華民国の政治家。
ウィルバー・パン（潘瑋柏）：在米華僑の歌手。
潘長江：芸人、俳優。

架空の人物

潘金蓮：『水滸伝』、『金瓶梅』に登場する人物。

朝鮮

朝鮮では「パン」と発音され、こちらも由緒ある姓です。潘姓の主な氏族は、巨済（岐城）潘氏、光州潘氏、南平潘氏の3つです。これらの氏族は、もともとは同源から分派したと考えられています。

氏族の解説

巨済（岐城）潘氏：始祖は高麗時代に倭寇を討伐した功績で巨済府院君に封ぜられた潘阜。その子孫には高麗の文臣、朝鮮の文臣など多くの官僚を輩出しています。
光州潘氏：始祖は朝鮮の開国功臣で海陽君（光州伯）に封ぜられた潘忠。その子孫にも、清廉な人物や、壬辰倭乱で活躍した人物がいます。
南平潘氏：始祖は高麗末期から朝鮮初期にかけて活躍した潘自建。その子孫は、南平に居住し、地域に貢献しました。

著名な人物

潘益淳：高麗の文臣。
潘福海：高麗の文臣。
潘佑亨：李氏朝鮮の文臣。
潘碩枰：李氏朝鮮の文臣。
潘基文：第8代国際連合事務総長。
潘亨植：韓国の国会議員。
潘長植：元韓国造幣公社社長。
パン・ヒョジョン：韓国の女優。

日本

日本では「はん」と読むことが一般的です。著名な人物としては、声優の潘恵子さん、潘めぐみさんがいます。

ベトナム

ベトナムでは「ファン」と発音され、国内で6番目に多い姓です。人口の4.5%を占めるとされています。なお、別の姓であるファム（Phạm / 范）を日本ではしばしば混同して「ファン」と表記する例が見られます。ベトナムの潘姓の著名人には、政治家、独立運動家、歴史学者など、各界で活躍する人物が多くいます。

著名な人物

潘清簡（ファン・タン・ジャン）：阮朝の文官、歴史学者。
ファン・ボイ・チャウ（潘佩珠）：独立運動家。
ファン・チュー・チン（潘周楨）：独立運動家。
ファン・ディン・フン（潘廷逢）：独立運動家。
ファン・カク・スー（潘克丑）：ベトナム共和国（南ベトナム）国家評議会議長。
ファン・フイ・クアト（潘輝括）：ベトナム共和国首相。
ファン・フイ・レ（潘輝梨）：歴史学者。
ファン・ヴァン・カイ（潘文凱）：政治家、ベトナム社会主義人民共和国首相。
* ファン・ティー・キム・フック（潘氏金福）：反戦運動家。

まとめ

潘姓は、中国、朝鮮、ベトナムを中心に東アジアに広く分布し、各地域で歴史的に重要な役割を果たしてきた人々を多く輩出しています。それぞれの文化の中で独自の発展を遂げながらも、共通のルーツを持つという点で、興味深い姓と言えるでしょう。

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