竹原火力発電所

竹原火力発電所

広島県竹原市忠海長浜に位置する竹原火力発電所は、電源開発株式会社が運営する主要な石炭火力発電施設です。日本の電力供給において長年にわたり重要な役割を担っています。

歴史と変遷

この発電所は1967年7月、最初の設備である旧1号機の運転開始をもってその歴史をスタートさせました。その後、3号機までの設備が順次建設されました。特に特徴的なのは旧2号機の経緯です。この設備は当初、電源開発が手掛けた初めての重油専焼火力設備として稼働しましたが、後の改造により石炭焚きボイラーへと転換され、1995年6月30日からは石炭火力として運転されました。この旧2号機が、同社にとって最初で最後の石油を主燃料とする火力設備となりました。

運転開始から長期間が経過した旧1号機（43年以上）、旧2号機（36年以上）について、設備の老朽化に対応するため、2010年頃に大規模な更新計画が発表されました。この計画に基づき、旧1号機および旧2号機は廃止され、最新鋭の技術を採用した新しい1号機が建設されることとなりました。新1号機の建設は2014年3月1日に始まり、約6年間の工事期間を経て、2020年6月30日に営業運転を開始しています。

発電設備

現在稼働中の設備は以下の通りです。

新1号機
定格出力: 60万 kW
使用燃料: 石炭
蒸気条件: 超々臨界圧（Ultra Super Critical - USC）
着工: 2014年3月1日
営業運転開始: 2020年6月30日
熱効率: 約48%（低位発熱量基準）
特徴: 主蒸気温度600℃、再熱蒸気温度630℃、主蒸気圧力27MPaという高い条件で運用されるUSC方式を採用。
3号機
定格出力: 70万 kW
使用燃料: 石炭
蒸気条件: 超臨界圧（Super Critical - SC）
営業運転開始: 1983年3月18日
熱効率: 約43%（低位発熱量基準）

廃止された設備は以下の通りです。

旧1号機
定格出力: 25万 kW
使用燃料: 石炭
営業運転開始: 1967年7月25日
廃止: 2018年4月
熱効率: 約41%（低位発熱量基準）
旧2号機
定格出力: 35万 kW
使用燃料: 重油から石炭へ転換（1995年6月30日転換）
営業運転開始: 1974年6月7日
廃止: 2019年6月
熱効率: 約38%（低位発熱量基準）

燃料と電力供給

主な燃料として海外から輸送される石炭や、かつては国内の北海道釧路炭砿産の石炭が使用されていました。加えて、補助燃料として重油や軽油も使用されます。

発電された電力については、設備によって供給先が異なりました。旧2号機で発電された電力は関西電力へ売電されていましたが、2005年10月から特定規模電気事業者向けの供給力確保のため一部が切り出され、2007年4月には全量が切り出されました。旧1号機および3号機で発電された電力は、2014年度までは全量が中国電力へ売電されていましたが、2015年4月以降は旧1号機の一部（1.8万 kW）が他の供給先へ切り出されていました。

環境性能と技術

新1号機の導入により、環境性能が大幅に向上しました。最新技術の採用により、硫黄酸化物（SOx）、窒素酸化物（NOx）、煤塵といった大気汚染物質の発生量が著しく抑制されています。さらに、地球温暖化の原因となる二酸化炭素（CO2）の排出量についても、従来の設備に比べ約2割削減を実現しています。将来的には、再生可能エネルギーの一つであるバイオマス燃料を10%程度石炭に混ぜて燃焼（混焼）させることも目指しており、さらなる低炭素化への取り組みを進めています。また、太陽光や風力発電のような再生可能エネルギーの出力が天候などで変動しやすい特性に対応するため、電力系統の安定化に貢献できるよう、需給に応じて発電出力を柔軟に調整できる運用性能も備えています。

アクセス

竹原火力発電所は、JR呉線の安芸長浜駅から歩いて約1分と、比較的容易にアクセスできる場所に立地しています。

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