竹岡村

竹岡村

竹岡村（たけおかむら）は、かつて千葉県天羽郡（のちに君津郡）に存在した村です。1889年（明治22年）の町村制施行に伴い、竹ヶ岡村と萩生村が合併して発足しましたが、昭和の大合併により、その歴史に幕を閉じました。現在の富津市南部、天羽地区の一部にあたります。

地理

現在の地名では、竹岡と萩生が竹岡村の領域にあたります。

歴史

前近代

竹岡（町村制施行以前の竹ヶ岡村）は、古くは造海（つくるうみ、つくろうみ）と呼ばれていました。この地名は、漁業に関わる「造網」という言葉に由来するとされています。15世紀後半には、この地を治めていた真里谷氏（上総武田氏）が、東京湾を望む標高約100mの山の上に造海城を築きました。伝説によると、安房国の戦国大名である里見氏が造海城を攻めた際、守将の真里谷信隆が優れた和歌を百首詠むことができたら開城するという条件を提示しました。しかし、里見側の大将が和歌を百首分送り返したため、信隆は約束通り開城したとされています。この出来事を記念して、城の名前は「百首城」と改められ、城下の港や村も百首と呼ばれるようになりました。しかし、天正18年（1590年）に豊臣秀吉によって里見家が安房国以外の領地を没収されたことにより、造海城（百首城）は廃城となりました。江戸時代初期の1633年には、加増を受け1万石余の大名となった松平重則が百首村に陣屋を構え、百首藩が成立しましたが、松平氏の移封によって短命に終わりました。

江戸時代後期の文化7年（1810年）には、異国船の出現に対応するため、幕府は白河藩主の松平定信（元老中）に房総の海岸防備を命じました。松平定信は、百首村（現在の富津市立竹岡小学校周辺）に陣屋を設け、「竹ヶ岡陣屋」と名付けました。さらに、戦国時代の百首城跡のある山上と山麓の2か所に「竹ヶ岡台場」を築きました。また、同時に安房国波左間（館山市）に「松ヶ岡陣屋」、安房国白子（南房総市千倉町）に「梅ヶ岡陣屋」を設けました。文化9年（1812年）5月、定信は百首村の名前を竹ヶ岡村に改めました。松平定信は老中在職中にも東京湾岸を巡視するなど、海防に熱心に取り組んだ人物で、竹ヶ岡の陣屋・台場建設の現場にも足を運んだとされています。薬王寺にある竹岡のオハツキイチョウは、定信が自ら植えたものと伝えられています。

近現代

1889年（明治22年）の町村制施行により、竹ヶ岡村と萩生村が合併し、竹岡村が発足しました。1916年（大正5年）には、省線木更津線（現在の内房線）の上総湊駅 - 浜金谷駅間が開通し、鉄道が村内を通るようになりましたが、当初は駅は設置されていませんでした。1926年（大正15年）6月16日、萩生に竹岡駅が仮停車場として開業し（1930年（昭和5年）に駅に昇格）、地域住民の利便性が向上しました。1928年（昭和3年）11月30日には、「竹岡のヒカリモ発生地」（萩生）が国指定天然記念物に指定され、貴重な自然が保護されることとなりました。

1955年（昭和30年）には、昭和の大合併により、湊町、金谷村、天神山村と合併し、新たに天羽町が発足しました。竹岡村はこの時、その歴史に幕を閉じました。天羽町はその後、1971年（昭和46年）に富津市の一部となりました。1986年（昭和61年）4月には、富津市竹岡コミュニティセンターが完成し、地域住民の交流拠点となっています。

行政区画・自治体沿革

1889年（明治22年）4月1日 - 町村制施行により、竹ヶ岡村、萩生村が合併し、天羽郡竹岡村が発足。
1897年（明治30年）4月1日 - 天羽郡が統合されて君津郡となる。
1955年（昭和30年）3月31日 - 湊町、金谷村、天神山村と合併して天羽町を新設。同日竹岡村廃止。
1971年（昭和46年）
4月25日 - 天羽町が富津町、大佐和町と合併し、改めて富津町を新設。
9月1日 - 富津町が市制施行し、富津市となる。

交通

鉄道

国鉄（現JR東日本）
房総西線：竹岡駅

道路

房総街道（現国道127号）

脚注

注釈

出典

関連項目

千葉県の廃止市町村一覧

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