天羽郡

天羽郡（あまはぐん）とは

天羽郡は、かつて千葉県（上総国）に存在した郡です。上総国南西部の浦賀水道に面した地域に位置していました。現在の富津市の大部分にあたる地域を管轄していました。

郡域

1878年（明治11年）に行政区画として発足した当時の郡域は、現在の富津市の大部分（本郷、上飯野、下飯野、篠部以北を除く）に相当します。

歴史

近代以降の沿革

天羽郡の歴史は、明治維新後の行政区画の変動と深く結びついています。

「旧高旧領取調帳」によると、明治初年時点での郡域の支配は複雑で、複数の藩や旗本領が入り組んでいました。具体的には以下の通りです。

佐貫藩
前橋藩
旗本領

これらの支配関係は、明治維新後の混乱期を経て、以下のように変遷しました。

慶応4年（1868年）

7月2日：佐貫藩領の一部、前橋藩領の一部、旗本領の大部分が安房上総知県事の管轄となります。
7月13日：駿河田中藩が転封し、安房長尾藩となります。

明治元年（1868年）

9月21日：遠江相良藩、遠江横須賀藩が転封し、それぞれ上総小久保藩、安房花房藩となります。
上記3藩の入封に伴い、佐貫藩、前橋藩で領地替えが行われ、郡内は4藩の管轄となります。

明治4年（1871年）

7月14日：廃藩置県により佐貫県、長尾県、小久保県、花房県の管轄となります。
11月14日：上総国の各県が木更津県に統合されます。

明治6年（1873年）

6月15日：木更津県が印旛県に統合され、千葉県が発足します。

明治7年（1874年）

木村、横嶺村が合併して更和村が成立します。
小畑村、神徳村、中倉村、小倉村、宇藤木村、松節村が合併して豊岡村が成立します。
鬼泪古屋敷新田が桜井村に、前庭寺村が岩本村に、岩井作村が小志駒村に、稲子沢村が志駒村に編入されます。

明治8年（1875年）

海良村、花輪村、長崎村、売津村、不入斗村が合併して一川村が成立します。
含富里村、古船村が合併して鶴岡村が成立します。
中村（現・富津市亀田）、大坪村が合併して亀田村が成立します。
午房谷村、迎原村、岩富村、北上村が合併して亀沢村が成立します。
加藤村、望井村、台原村、更和村が合併して和合村が成立します。更和村は1年足らずで消滅します。

明治10年（1877年）

上後村、関尻村が合併して中郷村が成立します。
山脇村が田原村に、押切村が六野村に編入されます。

明治11年（1878年）

11月2日：郡区町村編制法の千葉県での施行により、行政区画としての天羽郡が発足します。「望陀周淮天羽郡役所」が望陀郡木更津町に設置され、望陀郡・周淮郡とともに管轄されることになります。

町村制以降の沿革

1889年（明治22年）4月1日、町村制が施行され、天羽郡には以下の町村が成立しました。関村と豊岡村は関豊岡村組合を設置しました。これらの町村は、現在ではすべて富津市の一部となっています。

吉野村
大貫村
佐貫町
湊町
環村
関村
駒山村
天神山村
豊岡村
竹岡村
金谷村

郡の消滅

1897年（明治30年）4月1日、郡制の施行により、望陀郡・周淮郡・天羽郡の区域をもって君津郡が発足し、天羽郡は廃止されました。天羽郡は、その短い歴史を終え、君津郡の一部として新たな歴史を歩むことになりました。

行政

望陀・周淮・天羽郡長は、『君津郡誌』に記載されています。

脚注

参考文献

千葉縣君津郡敎育會 編『千葉縣君津郡誌（復刻版）』千秋社、1990年5月31日。
「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 12 千葉県、角川書店、1984年3月1日。ISBN 4040011201。
旧高旧領取調帳データベース

関連項目

消滅した郡の一覧
千葉県立天羽高等学校
天羽日東バス

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