竹本大隅太夫

竹本大隅大夫の系譜とその影響

竹本大隅大夫（たけもと おおすみたゆう）は、日本の伝統的な人形浄瑠璃である義太夫節において重要な役割を果たした太夫である。彼の名は、実際には五代にわたる太夫の系譜にわたり、各世代ごとに独自の特徴と功績を持っている。ここでは、初代から五代目までの大隅大夫について詳しく解説する。

初代大隅太夫

初代大隅太夫は、寛政9年（1797年）に誕生し、本名は尾張屋新兵衛であった。大和初瀬に生まれ、二代目竹本土佐太夫のもとで初めての修行を行った。彼は百合太夫や三根太夫として知られていたが、1838年に大隅太夫として活動を開始。初代は江戸で10年以上の修業を経て、1860年に大阪に下ってからさらに多くの舞台で活躍した。

二代目大隅太夫

二代目大隅太夫については、生没年は不詳であるが、初代大隅太夫の門弟であり、彼の後を継いだ。1865年には二代目大隅太夫として大阪で襲名し、その後失明の報告がある。彼が活躍した時期には、同じく初代の門弟である大和太夫が二代目大隅太夫を名乗ることになり、結果的に二人の大隅太夫が並存するという興味深い状況が生まれた。

三代目大隅太夫

三代目は安政元年（1854年）に生まれ、本名は井上重吉。大坂の順慶町に育ち、1869年には五代目竹本春太夫の門下で初代竹本春子太夫としても活動。その後1884年に三代目大隅太夫を襲名した。彼は名作「摂州合邦辻」などで知られ、一時は彦六座で活動したこともある。多くのレコードを残し、彼の演技は当時の義太夫に大きな影響を与えた。1913年には台湾で病に倒れ、最期の舞台を経てこの世を去った。

四代目大隅太夫

四代目大隅太夫は、明治15年（1882年）に生まれ、本名は永田安太郎。三代目の鶴澤清六の甥として生まれ、20歳の時に鶴澤淺吉に入門。その後、1904年に太夫へ転向し、3代目大隅太夫の下で修行を行った。1927年、四代目大隅太夫として活動を始めた。彼は前世代の伝統を引き継ぎながらも、独自のスタイルを確立した。

五代目大隅太夫

五代目大隅太夫は、明治36年（1882年）に生まれ、本名は高田峰雄。彼の父は三代目大隅太夫の相三味線を務めた文化人であり、兵庫県神戸市にて育った。1930年に四代目大隅太夫に入門し、隅若太夫と名乗った後、1950年には二代目竹本静太夫、1960年には五代目大隅太夫を襲名した。彼自身もまた、義太夫の新たなスタイルを生み出す重要な存在であった。

結論

竹本大隅大夫は義太夫節の発展に多大な寄与をし、その影響は現在もなお多くの表現に影響を与え続けている。彼の系譜は、各世代ごとに異なる個性と技術を持ち、義太夫の伝統を守ると同時に新しい風を吹き込んできた。今後もその伝統が受け継がれることを期待したい。

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