竹本春子太夫

竹本春子太夫の系譜と特徴

竹本春子太夫（たけもと はるこたゆう）は、日本の伝統音楽である義太夫節において重要な名跡です。この名跡は主に男性が名乗るものであり、女性の義太夫とは区別されます。春子太夫という名は、3代に渡って受け継がれており、それぞれの太夫が独自のスタイルと演目を持って活躍しました。

初代春子太夫

初代は、その後3代目の竹本大隅太夫となります。詳しい記録は残されていないものの、彼の功績は義太夫の発展に寄与しました。初代の影響は、後の太夫たちにも強く引き継がれています。

2代目春子太夫

2代目春子太夫（生年：慶応3年2月9日（1867年3月14日） - 昭和3年（1928年）5月5日）本名：福井清吉は、大阪の南船場にて誕生しました。彼の父は素人義太夫の出身であり、幼少期から音楽の影響を受けていたと考えられます。1885年、3代目竹本大隅太夫の門下に入門し、小大隅太夫として舞台に立ち始めました。

その後、彼は堀江座、近松座などで活躍し、1890年には2代目春子太夫を襲名します。彼の特徴的な節回しは「春子節」と呼ばれ、多くの観客に支持されました。その演技力は特に、「義経千本桜」のすし屋や「艶容女舞衣」の酒屋の段、「妻八」の鰻谷など多くの名作に見られます。彼の独自のスタイルと魅力が、作曲の新たな潮流を生み出しました。

3代目春子太夫

3代目春子太夫（生年：明治42年（1909年）6月20日 - 昭和44年（1969年）4月26日）本名：坂本竹一は、兵庫県淡路島に生まれ、淡路の人形芝居出身です。彼は1926年から竹本広滝に師事し、1927年に竹本三笠太夫として舞台に立ちます。その後、徳島の上村源之丞座や淡路市村六之丞座などで高い支持を得ました。

1940年には3代目豊竹呂太夫の門下に入り、豊竹呂賀大夫に改名し、1941年には四ツ橋文楽座での初舞台を果たします。彼は1943年に松竹の白井松次郎から一字譲られて初代豊竹松太夫に改名し、さらに演技力を磨いていきました。相三味線の技術は4代目鶴澤清六の指導を受け、彼の影響を受けつつ自らのスタイルを確立しました。

1960年には3代目春子太夫を襲名し、演技の幅を広げていった彼ですが、1963年の1月には切り場語りとしても知られるようになります。しかし、春太夫の襲名が決定された矢先に急逝しました。

まとめ

竹本春子太夫の3代にわたる歴史は、日本の伝統芸能における義太夫の持つ奥深さを象徴しています。それぞれの太夫は、時代背景や自身の個性を活かしつつ、義太夫節の世界に多大な影響を与えました。春子太夫の名は、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。

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