竹林寺 (生駒市)

竹林寺について

竹林寺（ちくりんじ）は、奈良県生駒市有里町にある重要な律宗の寺院で、山号は生馬山です。この寺院は、奈良時代の僧・行基が関係しており、彼の墓が存在することで知られています。本尊には文殊菩薩騎獅像が祀られています。

歴史的背景

竹林寺は生駒山の東側の山中に位置しており、奈良時代に橋や治水などの社会事業をおこなった行基の墓所として重要な地位を持っています。行基は、東大寺の大仏建立に貢献した僧でもあります。彼は文殊菩薩の化身とされており、そのため、竹林寺の名前は中国の五台山にある竹林寺に由来しています。

明治時代に入ると、竹林寺は廃寺に近い状態となり、本山の唐招提寺によって管理されていましたが、20世紀の終わりからは境内の整備が徐々に行われてきました。

行基に関する基礎資料の一つである『行基年譜』には、707年に40歳の行基が「生馬仙房」に移ったとされています。また、東大寺の学僧・凝然が書いた『竹林寺略録』には、行基は704年に生駒山の「草野仙房」に住んだと記されています。これらの記録から、「生馬仙房」と「草野仙房」が同じ場所を指しているのか、そしてそれが現在の竹林寺とどのように繋がるのか、未だに議論されています。

行基の墓の発見

正史である『続日本紀』には、773年に行基が修行した寺院の一つとして「生馬院」が記されています。しかし、行基の没後約20年には、この寺院が荒廃していたという記録が残っています。

約500年後の1235年、僧の寂滅が行基の夢のお告げを受けて生駒山で行基の墓を掘り起こしたところ、舎利瓶や墓誌が発見されました。墓誌には、行基が菅原寺で死去した後、生馬山の東陵で火葬された旨が記されています。行基の舎利瓶と墓誌は再埋納され、その一部は昭和8年に「銅製行基舎利瓶残片」として重要文化財に認定され、現在は奈良国立博物館に展示されています。

その後、西大寺中興の祖・叡尊やその弟子・忍性の手によって再興されましたが、明治時代の廃仏毀釈によって再び廃寺となりました。竹林寺の再興は1997年に行われ、現在に至ります。

文化財の紹介

竹林寺には多くの文化財があります。忍性の墓から出土した品々は重要文化財として指定されており、これには鎌倉時代の僧・忍性の遺骨が含まれます。1986年の発掘調査で発見された銅骨蔵器や石櫃も関連しています。

また、竹林寺の本尊である木造文殊菩薩騎獅像と脇侍像も重要な文化財です。獅子像は室町時代のものですが、その他の像は近代に作られたものです。行基の墓も史跡として重要視されており、彼は749年に菅原寺で亡くなり、その遺命により生駒山で火葬されたと伝えられています。

さらに、「忍性墓塔」と称される五輪塔の残欠があり、これは奈良県立橿原考古学研究所の発掘調査によって重要文化財として認定された骨蔵器が発見されています。かつて竹林寺にあった木造行基菩薩坐像も重要文化財に指定されていますが、現在は唐招提寺に保管されています。

アクセス

竹林寺へのアクセスは、近鉄生駒線の一分駅・南生駒駅から徒歩で、また第二阪奈有料道路の壱分ランプや小瀬料金所、国道168号線の一分バイパスからも利用可能です。

奈良県生駒市の竹林寺は、観光地としてだけでなく、歴史や文化に関心のある方々にも多くの魅力を提供している場所です。

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