竹腰正武

竹腰正武について

竹腰 正武（たけのこし まさたけ）は、尾張藩の領主であり、御附家老として名を馳せた重要な人物です。彼は美濃今尾領の第5代領主であり、父は石川章長、養父は竹腰正映です。竹腰家は分家となる正辰家からの養子縁組を経ており、正武はその家督を引き継ぎました。正武の本家が亡くなったことに伴い、彼は1710年に跡を継いでいます。

正武の政治経歴は非常に興味深く、初めて将軍家宣に拝謁したのは1710年のことです。その後、同年末には従五位下・山城守に叙任されました。1739年4月には藩主・宗勝に従って尾張に帰藩し、1745年には将軍の代わりに江戸に上るなど、重要な役割を担っていました。残念ながら、彼の人生は1759年12月8日に幕を閉じました。

正武の家族についても触れておくべきでしょう。彼の長男である正方は元文5年（1740年）に29歳で早世し、その後養子の正喜を迎えましたが、彼もまた34歳で病没しました。最終的に徳川宗勝の五男である勝起が竹腰家の家督を継ぐことになります。

人柄と政治手腕

竹腰正武は、4代・徳川吉通から8代・徳川宗勝に至る尾張藩の御附家老として、非常に優れた人物でした。彼の人柄は温和で、周囲への気配りができる性格だったと伝えられています。特に、藩主が大変気忙しい取り計らいをしている中でも、地道に政務を進め、幕府の法令を忠実に守る政策を推進しました。

彼はまた、叔父が藩主となった際、即座にその祝宴を設けるなど、家族の絆や大義を重んじる姿勢が見られます。これは彼が信念を持った人物であることを示しています。政局においては、時には圧力を受けたり、困難な立場に立たされることもありました。元文3年（1738年）には、宗春が参勤交代を行った際に、法令が突然取り消されたり、多額の課税が行われたりする事態が発生しました。これにより藩内は混乱し、宗春を追い込む結果に繋がりました。

しかし、宗春が隠居に追いやられた際には、尾張藩を救えるよう尽力しました。彼は宗春に対して特に気を使い、隠居を謹慎しながらも、名古屋城の大きな敷地を提供し、生活の手助けを行いました。宗春の一人娘を他家に嫁がせようとする努力や、彼の愛妾に対する心配りもあったと言われています。

継承と遺族

正武は実兄の石河正章や実弟の石河政朝とも密接な関係を持ち、石河家は尾張藩の要職を歴任しました。また、正武の娘である正子は、有栖川宮職仁親王に和歌を学び、朝廷との関係を深めています。正武の墓は岐阜県関市にある正武寺にあり、彼の業績を物語る場所となっています。

結論

竹腰正武は、高い倫理観と温かい人間性を持った尾張藩の御附家老として、政治においても家族においても大きな足跡を残しました。その生涯は、単なる権力者としての活動に留まらず、人々との関係を深めながら、藩の繁栄に寄与したことが評価されています。彼の生き様は、現代にも多くの教訓を与えてくれる貴重な歴史的な存在といえるでしょう。

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