竺僧朗

竺僧朗（じく そうろう、生没年不詳）は、中国の4世紀に生きた僧侶であり、その生涯は謎に包まれています。

出自と修行

竺僧朗は、京兆（現在の陝西省西安市）の出身とされています。別の説では、天水郡冀県（現在の甘粛省天水市甘谷県）の人とも伝えられ、俗姓は李氏でした。若い頃は、関中地方で格義仏教を講じていましたが、その後、鄴（現在の河北省邯鄲市臨漳県）に移り、仏図澄に師事しました。仏図澄のもとで戒律を学び、その教えを深く理解しました。

泰山での隠棲と名声

仏図澄が没し、後趙が滅亡した後、351年に竺僧朗は泰山の金輿谷に住居を構えました。彼が住んだ谷は、後に「朗公谷」と呼ばれるようになり、彼の寺は後世に神通寺と称されるようになりました。泰山での生活は、彼の名声を高めることとなりました。

時の権力者たちとの交流

竺僧朗は、仏典に通暁していただけでなく、『周易』や占術にも精通していました。そのため、前秦の苻堅や北魏の道武帝、東晋の孝武帝といった時代の覇者たちから、その知識と人柄を高く評価され、仕官を求められたり、莫大な財産を贈られたりしました。特に、南燕の慕容徳が泰山一帯を支配下に置いた際には、竺僧朗を東斉王に封じ、奉高県・山茌県の二県を与え、国師として手厚く遇しました。

霊巌寺との関連

霊巌寺は、竺僧朗と関連がある寺院として知られています。彼の足跡をたどる上で、霊巌寺は重要な場所と言えるでしょう。

伝記資料

竺僧朗に関する情報は、『高僧伝』巻5に収録されています。また、宮川尚志による「晋の泰山竺僧朗の事蹟」（『東洋史研究』3-3）も、彼の生涯を研究する上で重要な資料となっています。

竺僧朗は、激動の時代を生き抜き、仏教の普及に貢献した僧侶であり、その知識と人格は、多くの人々を魅了しました。彼の生涯は、当時の社会や仏教界の状況を理解する上で、貴重な手がかりを与えてくれます。

もう一度検索