竺雲恵心

竺雲恵心（じくうんえしん）：戦国・安土桃山時代の臨済宗僧侶

竺雲恵心（1522年 - 1579年）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての臨済宗の僧侶で、その名は歴史に深く刻まれています。出雲国に生まれ、幼くして仏門に入り、東福寺で修行を積みました。その後、安芸国の興禅寺で策雲玄竜に師事し、毛利元就との繋がりを深めます。

毛利氏との関係

恵心は、玄竜を通じて毛利元就の信任を得、毛利氏の外交や文化面で重要な役割を果たしました。大内氏との関係を取り持ち、山口の国清寺と香積寺の復興に尽力。また、朝廷や幕府との交渉役も担い、正親町天皇の即位式実現のために奔走し、毛利氏の権威を高めることに貢献しました。

文化面での貢献

恵心は、文化面でも大きな足跡を残しています。毛利隆元の菩提を弔うために建立された常栄寺の開基として迎えられ、寺の発展に尽力しました。また、自身の学識と人脈を活かし、多くの文化人を育成しました。

その生涯

1522年、出雲国飯石郡熊谷郷に生まれた恵心は、1530年に東福寺の允芳恵菊のもとで出家。1538年には安芸国の興禅寺で策雲玄竜に師事し、毛利元就との関係を築きます。1548年には周防国山口の国清寺と香積寺の事務を執り、公家との交流を深めます。1550年には退耕庵の庵主を継ぎ、1553年には安国寺恵瓊を弟子としました。

毛利氏からの信頼は厚く、1554年の対陶晴賢戦では隆元から苦しい胸の内を打ち明けられています。1555年の厳島の戦い後、恵心は再び山口の国清寺と香積寺の住持となり、両寺の復興に尽力。興禅寺の住持も兼任しました。1558年に上洛し、1559年には東福寺の住持となります。在京中には朝廷や幕府の情報を元就に伝え、正親町天皇の即位式のために献金を勧めるなど、政治的な手腕も発揮しました。

1563年に毛利隆元が急死すると、恵心は隆元との書状を元就に献上。常栄寺の開基として迎えられ、安芸国吉田へ下向しました。1569年には毛利元就と大友宗麟の和睦調停に尽力。大内輝弘の乱では高嶺城に籠城し、防戦に加わりました。1571年に元就が死去すると、その葬儀で偈を授け、法号を贈りました。

これらの功績により、恵心は朝廷から「正灯普光禅師」「仏智大照国師」の号を贈られています。1579年8月3日、58歳で生涯を閉じました。

竺雲恵心の人物像

竺雲恵心は、単なる宗教家ではなく、政治家、外交官、文化人としての顔も持ち合わせていました。その柔軟な思考と行動力で、戦国時代の激動を生き抜き、毛利氏の発展に大きく貢献した人物として、後世に語り継がれています。

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