竽

竽（う）

竽（う）は、中国古代で使用されていた管楽器の一種です。八音の「匏（ほう）」に分類され、笙（しょう）に似ていますが、笙よりも大きく、低い音を出すのが特徴です。戦国時代から宋の時代にかけて用いられていましたが、その後、歴史の中から姿を消しました。

歴史

「竽」という名前は、戦国時代の文献に頻繁に登場します。『韓非子』には、斉の宣王が常に300人もの楽士に竽を演奏させていたという記述があります。

『説文解字』や『周礼』の注釈によると、竽は笙に似ていますが、36本の管を持っていたとされています。しかし、後漢の時代には管の数が23本に減少していました。馬王堆漢墓から出土した明器の竽は、高さ78センチメートルで、竹製の管が22本、11本ずつ2列に並んでいました。匏（ふくべ）にあたる部分は木製でした。また、漢代の陶俑や画像石にも、竽が描かれているものが多く見られます。

宋の時代には、竽笙（うしょう）・巣笙（そうしょう）・和笙（わじょう）という3種類の笙があり、いずれも19本の管を持っていました。このうち、竽笙は音が低く、和笙は音が高かったとされています。楊蔭瀏（よういんりゅう）の解釈によれば、当時の竽笙の音域は嬰イ…二点トであったとされています。その後、竽は使われなくなりました。

日本への伝播

竽は、奈良時代に日本に伝来しましたが、平安時代にはすでに使われなくなったと伝えられています。

正倉院には、笙と竽がそれぞれ3個ずつ保存されています。これらの正倉院の笙と竽は、ともに17本の管を持っており、竽の音域は笙よりも1オクターブ低いものでした。現存する楽器のうち、呉竹笙（くれたけのしょう）は全長49センチメートル、呉竹竽（くれたけのう）は全長97センチメートルです。近年、復元された楽器が、現代音楽の演奏家である宮田まゆみ氏や真鍋尚之氏によって演奏されています。

脚注

[外部リンク]『千年の響き』（復元した竽の音を聴くことができる）(参照 2016-07-10)

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