笄

笄（こうがい）についての詳細

笄（こうがい）は、日本の伝統的な結髪用具の一つです。もともとは髪を掻き揚げて結髪を整えるために用いられていましたが、時が経つにつれ装飾的な役割が強くなりました。笄の語源は「髪掻き」に由来しているという説もあり、髪型を崩さずにかゆいところを掻くための道具としても利用されました。現代中国語では「ジー（jī）」と呼ばれ、中国から伝来したものです。また、笄は「三所物」としての日本刀の装飾具としても重要視され、刀と共に携帯されることが多かったのです。

形態と素材

笄の形は頭部がイチョウの葉のような形状を持つものや、二本の長細い足が付いたものが一般的です。特に、棒状のものは「棒笄」と呼ばれ、古くは頭痛のまじないとしても好まれました。使用される素材も多岐にわたり、竹や鯨のひげ、鼈甲（べっこう）などが使われ、また金属製や木製、象牙製、さらには牛や馬のひづめを用いた笄も存在しました。さらに、鶴の骨が材料として用いられた笄もあり、その骨は「脛骨」と呼ばれます。装飾された笄、例えば、螺鈿や蒔絵、彫金や彫刻が施されたものは、特に高価となり、貴族や好事家の間で重宝されました。

歴史

中国の新石器時代にはすでに笄が存在していたと考えられ、骨や銅、玉で作られたものが出土しています。笄は古くから成人女性として扱われる際に重要であり、成人式のような儀式で使用されることがありました。このため、「笄」自体には成人の象徴としての意味も込められています。

日本において、笄は日本髪のスタイルに欠かせないアイテムで、「櫛」や「簪」と並ぶ重要な装飾品です。特に、笄と櫛を共に装飾的に揃えることが好まれてきました。この頃、簪は結束の役目を持つため、用途としては異なるのですが、江戸時代中期になると笄と簪の違いが曖昧になる事例もあったようです。耳かきの有無によって区別され、江戸時代の辞典にはその違いが記されています。

笄は基本的には髷（まげ）の根に挿入されるものであり、しばしば一本だけ使用されます。髪型によっては笄が省略されることもあります。元々は髷をしっかりと保持するための道具として使われていましたが、江戸後期になると結髪技術が複雑化したため、装飾品としての側面が強まりました。この流れの中で登場した「中割れ笄」は、真ん中で二つに分解できるデザインとなっており、髪を結いた後の最終仕上げに使用される完全な装飾品へと進化しました。

このように、笄は日本の結髪文化において重要な役割を果たしており、ただの道具に留まらず、歴史や文化の中で独自の地位を築いてきました。

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