笊ヶ岳

笊ヶ岳：南アルプスの雄大な展望を誇る難峰

笊ヶ岳（ざるがたけ）は、山梨県と静岡県にまたがる南アルプス（赤石山脈）白峰南嶺に位置する標高2,629mの山です。その名の由来は、伏せたざるのような独特な山容からきています。日本二百名山、山梨百名山にも選定されており、多くの登山家から高い人気を誇る一方、その険しさから容易に登頂できる山ではありません。

山頂部は、主稜線上のピークである大笊（二等三角点がある）と東側のランカン尾根上にある小笊からなる双耳峰を形成しています。山頂付近はハイマツ帯に覆われ、視界が開けると富士山、赤石岳、聖岳など南アルプスの雄大な山々を一望できます。まさに絶景パノラマが広がる、登山者にとって最高の報酬と言えるでしょう。

歴史と挑戦

笊ヶ岳の初登頂は1911年（明治44年）12月1日、中村清太郎氏によって奥沢の谷からのルートで行われました。その後、1960年（昭和35年）1月には『日本百名山』の著者である深田久弥氏も保川沿いのルート（現在は廃道）からの登頂に挑みましたが、悪天候と歩荷の離脱により登頂を断念しています。このエピソードからも、笊ヶ岳の登山が容易ではないことが伺えます。

登山ルートと難易度

笊ヶ岳への登山ルートは、山梨県側の老平登山口と静岡県側の椹島、二軒小屋登山口の主に3つが存在します。どのルートも初心者にはお勧めできない、高い登山技術と体力が必要とされる難易度です。

老平登山口ルート: 山梨県側からアプローチするこのルートは、登山口から山頂まで約9時間10分を要します。山梨県と静岡県のグレーディングによると、体力度は10段階中7、技術的難易度は5段階中上から2番目のDと評価されています。1泊2日以上の行程が推奨され、ルート上に山小屋はありません。

椹島登山口ルート: 静岡県側からアプローチするこのルートは、登山口から山頂まで約5時間50分と老平ルートに比べ比較的短い時間で登頂できます。体力度は10段階中6、技術的難易度はDと評価され、老平ルートと同様に1泊2日以上の行程が推奨されます。

* 二軒小屋登山口ルート: 静岡県側からアプローチするもう一つのルートです。伝付峠を経由し、山頂まで約7時間5分かかります。体力度6、技術的難易度はDと評価され、こちらも1泊2日以上の行程が推奨されます。

どのルートも、地図読み能力、岩場や雪渓の通過技術、そしてルートファインディングの技術が求められます。経験豊富な登山者のみが挑戦すべきルートと言えるでしょう。

周辺環境

笊ヶ岳周辺には、椹島ロッヂ、二軒小屋ロッヂといった山小屋があり、登山者の拠点として利用されています。また、周辺には布引山、七面山、赤石岳、聖岳など、南アルプスを代表する山々が連なり、壮大な自然景観を堪能できます。

笊ヶ岳から流れる河川は、倉沢（大井川の支流）、保川、奥谷沢（早川の支流）などがあり、太平洋へと流れ出ています。

まとめ

笊ヶ岳は、その険しい登山道と、南アルプスを代表する絶景が魅力の山です。登山を計画する際は、自身の体力と技術をしっかりと見極め、十分な準備と計画を立ててから挑戦しましょう。経験豊富な登山者にとって、忘れられない思い出となる、挑戦に値する山と言えるでしょう。

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