笑福亭仁智

笑福亭 仁智（しょうふくてい じんち）

1952年8月12日、大阪府羽曳野市に生まれる。本名は浅田晃一郎（あさだ こういちろう）。上方落語界を代表する落語家・タレントであり、現在は第7代上方落語協会会長を務めている。所属事務所は吉本興業。出囃子は「オクラホマミキサー」を用いる。

来歴と芸風の確立

大阪府立勝山高等学校を卒業後、落語家を志し、1971年4月1日に上方落語の大名跡である笑福亭仁鶴のもとへ弟子入りを志願する。その際に『池田の猪買い』を演じたところ、落語をしっかりと覚えることを条件に、晴れて一番弟子として入門を許された。

入門当初は端正な顔立ちを活かし、古典落語を得意としていたが、次第に容姿に変化（髪の毛が薄くなったこと）が現れたこともあり、当代桂文枝師匠（当時は桂三枝）の助言を得て、活動の軸を新作落語へと移す。この転身が、その後の独自の芸風を確立する大きな転機となった。社会風刺や日常生活に根ざしたテーマを扱い、緻密な構成と軽妙な語り口で多くの聴衆を魅了するスタイルを確立していった。

多岐にわたる活動

落語家としての活動に加え、多方面で精力的に活動を行っている。1999年6月からは、自身の新作落語を中心とした勉強会「笑いのタニマチ」をほぼ隔月で開催し、意欲的に新作を発表し続けている。また、福祉活動にも熱心で、自身が主宰する福祉グループ「上方落語喜講」を通じて、各地でチャリティー寄席を催すなどの社会貢献も積極的に行っている。

かつては、笑福亭仁福、松旭斎小天正、笑福亭仁勇と共に、コントグループ「大阪パイレーツ」を結成し、リーダーとして活動するなど、落語以外の分野でも才能を発揮した。また、熱心な野球ファンとしても知られ、特に球団統合により消滅した大阪近鉄バファローズのファンであったことは有名で、ABCラジオやスカイ・Aで放送されていた「近鉄バファローズアワー」ではパーソナリティも務めた。

上方落語協会での貢献

上方落語協会の運営にも深く関わっている。2016年6月22日には副会長に就任し、企画委員長として協会の企画戦略を担った。そして、2018年4月26日に行われた次期会長候補選挙では、前会長である6代桂文枝の退任意向に伴い立候補し、協会員の投票で最多票を獲得して会長候補に選出された。同年5月31日の理事会での承認を経て、第7代上方落語協会会長に正式に就任した。協会の顔として、上方落語の発展と振興に力を注いでいる。

主な受賞歴

長年の活躍は高く評価されており、数々の賞を受賞している。

1999年：大阪文化祭賞 演芸部門奨励賞
2003年：文化庁芸術祭 演芸部門優秀賞
2015年：文化庁芸術祭 大衆芸能部門優秀賞

主な持ちネタ

新作落語を中心に、以下のような多くの持ちネタを持つ。

『スタディ・ベースボール』
『老女A』
『源太と兄貴』シリーズ
『川柳はこの世の憂さの吹きだまり』
ほか

メディア出演・CD作品

ラジオやテレビなど、様々なメディアに出演してきた。

主な出演番組：

『笑福亭仁智のラジオ突撃隊』（KBS京都）
『青春キャンパス』（文化放送）内「モコと仁智の青春レポート」
『ラジオよしもと むっちゃ元気!』（ラジオ大阪）
『サテスタ歌謡スター登竜門』（ラジオ関西）
『歌謡大全集』（ABCラジオ）
『近鉄バファローズアワー』（ABCラジオ・スカイ・A）
『夕焼け笑劇場』（ABCテレビ）
『スタジオ2時』（MBSテレビ）
『クイズふるさと便』（三重テレビ）
『ジャスコ奥さま便利帖』（読売テレビ）
『第二回ABEMA寄席』（ABEMA）

CD作品には、以下のものがある。

『上方艶笑落語集 五』に「びっくり解体新書」収録（1996年）
『上方落語名人選〜珍品抱腹上方お色け噺〜』に「鉄砲B助」収録（1987年収録）

弟子

後進の育成にも力を入れており、以下のような弟子たちがいる。

笑福亭智之介
笑福亭智六
笑福亭智丸
* 笑福亭大智

笑福亭仁智は、一番弟子として師の芸を受け継ぎつつ、自らの新作落語で新たな境地を開拓。多岐にわたる活動と上方落語協会会長としての重責を通じて、上方落語界に大きく貢献している。

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