笑福亭喬若

笑福亭 喬若

兵庫県尼崎市に1974年9月27日、本名である木谷亮一として生を受ける。上方落語の世界で活動する落語家であり、その高座における出囃子には「くいな」が用いられています。

学生時代は、大阪市立姫島小学校、高槻市立阿武野中学校で学び、その後、大阪府立阿武野高等学校、大阪産業大学へと進学し、卒業しました。大学時代は、後の師匠となる笑福亭三喬（当時の名前）と同じ学び舎に籍を置いていたことが、落語の道へ進むきっかけの一つとなります。

落語家としてのキャリアは、大学を卒業した翌年の1998年4月1日に幕を開けました。大阪産業大学の先輩にあたる笑福亭三喬に、最初に入門した弟子として師事します。この一歩から、プロの噺家としての人生が始まりました。所属事務所は松竹芸能であり、上方落語の振興に貢献する上方落語協会にも会員として名を連ねています。

高座以外での活動や人物像もユニークです。自らを「落語界の松坂大輔」と称するなど、野球に造詣が深い一面を持ち合わせており、モノマネベースボールクラブにおいてはピッチャーとして参加しています。これは、落語家仲間との交流や趣味の領域を超えた、公の場での活動としても知られています。

また、落語の本業に加え、寄席を彩る音楽である寄席囃子においても才能を発揮しています。特に笛の演奏を専門とし、藤舎名生門下の藤舎次生に師事し、本格的な訓練を受けています。内海英華 with宗清洋と粋〜てすとさうんどによる公演『お囃子JAZZ〜音伎噺』に参加するなど、邦楽とジャズを融合させた試みにおいてもその腕前を披露しました。これは、落語家としてだけでなく、音楽家としての顔も持つ、喬若氏の多才さを示すものです。

これまでの活動が認められ、2008年にはなにわ芸術祭にて新人賞を受賞しました。これは、今後の活躍を期待される若手・中堅噺家にとって、大きな励みとなる栄誉です。受賞以降も精力的に活動を続けています。

2020年時点では、天満天神繁昌亭の昼席へのレギュラー出演には至っていない「若手・中堅」クラスの立場ではありましたが、毎週火曜日の午前中に開催される「繁昌亭・火曜の朝席」には定期的に出演し、研鑽を積んでいました。このような場での経験が、噺家としての力量を磨く機会となっています。

そして、喬若氏のキャリアにおいて最も重要な出来事の一つが目前に迫っています。2026年2月、国立文楽劇場において、師匠が以前名乗っていた「笑福亭三喬」の名跡を、三代目として襲名することが決定しています。これは、師匠の名を受け継ぎ、上方落語の歴史に新たな一ページを刻む、噺家として最高の名誉と責任を伴う襲名となります。襲名公演に向けて、ますます期待が集まっています。

もう一度検索