笠覆寺

笠覆寺の概要

笠覆寺（りゅうふくじ）は愛知県名古屋市南区笠寺町上新町に所在し、真言宗智山派に属する寺院です。山号は天林山と称され、一般には笠寺観音（かさでらかんのん）として親しまれています。尾張四観音のひとつで、多くの霊場の札所としても知られています。

歴史の背景

笠覆寺の歴史は、天平5年（733年）にさかのぼります。この年、僧・善光が呼続の浜辺で不思議な光を放つ霊木を見つけ、そこから十一面観音像を彫りました。その像は、後に南区粕畠町に安置される天林山小松寺に祀られました。約200年後、この堂宇は朽ちてしまい、観音像も雨や風にさらされてしまいました。

旅人の藤原兼平が偶然この観音像に出会い、そこで出会った娘を都に連れ帰り、彼女を玉照姫と名付けました。彼のこの行動が縁となり、延長8年（930年）に現在の地に観音像を祀る寺が設立され、笠で覆う寺であることから「笠覆寺」と名付けられたことに由来しています。これにより、笠寺という地名や通称も派生しました。

鎌倉時代には、さらに別の寺院が生まれ、僧・阿願が境内に鐘楼を建立しました。この鐘は建長3年（1251年）の銘があるもので、愛知県の有形文化財に指定されています。また、大晦日には参拝者がこの梵鐘を撞くことができ、地域の人々に親しまれています。

江戸時代には、旅客の安全を祈願するために旧東海道沿いの立地が活用されましたが、明治時代初頭の廃仏毀釈の影響で一時的に荒廃しました。しかし、昭和に入ってからの住職などの努力により、再度の隆盛を見込むようになり、現在に至ります。厄除けや夫婦円満を願う多くの参拝者が訪れる寺院です。

行事と行動

笠覆寺では、毎年2月の節分会には豆まき祈祷が行われ、参拝者や出店で賑わいます。また、毎月18日の観音縁日、及び「6」のつく日には特別な祈願があり、青空市『六の市』も開催されます。特に、毎月第四土曜日にはハンドメイドの小物や地元の安全な食材を販売するマルシェ『かんのんひろば』も盛況です。

さらに、8月9日には大功徳日「九万九千日」が行われ、この日には多くの夜店が出店し、盆踊りや中学校のジャズバンドによる演奏会が楽しめます。

境内の構成

笠覆寺の境内には、本堂をはじめ多くの施設があります。本堂には十一面観音像が安置されていますが、この像は秘仏であり、8年ごとに開帳が行われます。また、本堂の改修が2022年に完了し、より多くの参拝者が訪れやすくなりました。

新たに建設された新護摩堂は、弘法大師や他の神々を安置しており、信徒会館も新築されたため、より多くの人々が参加できる行事が行われています。医王殿や善光寺堂、役行者堂、六地蔵堂など、様々な神社も点在し、それぞれの信仰を持つ人々が賑わいを見せています。

また、放生池と呼ばれる場所では亀が生息しており、地域の憩いの場として親しまれています。特に地域住民による生態調査も行われており、環境保護への取り組みも見受けられます。

文化財とアクセス

笠覆寺には、国の重要文化財に指定されたものや、愛知県指定の有形文化財がいくつかあります。名古屋市の都市景観においても重要な建築物として認識されています。アクセスは名鉄名古屋本線の本笠寺駅から徒歩約3分の距離にあり、市営バスや地下鉄を利用しても行きやすい場所に位置しています。

2018年から2022年にかけて大規模な改修工事が行われており、地域内の重要な文化財として、訪れる人々にとって魅力的なスポットとなっています。

もう一度検索