第一号型駆潜艇

第一号型駆潜艇

第一号型駆潜艇は、大日本帝国海軍によって建造された駆潜艇の一種で、昭和初期における対潜防御を目的として設計されました。2隻（第一号駆潜艇と第二号駆潜艇）が建造され、その後、世界の艦船においては第3号駆潜艇も同型として扱われ、同型艦は合計3隻となっています。公的な分類では、第1号から第12号までの全てを第一号型としています。

背景と建造

昭和初期の日本海軍では、沿岸部での対潜防御任務において漁船を特設駆潜艇として徴用する計画がありましたが、これらの船は性能的に不十分であったため、専用の駆潜艇を新たに建造することになりました。当時、最初に160トン駆潜艇（K1）や100トン駆潜艇（K2）が計画されましたが、実際の建造には至りませんでした。

第一次補充計画（いわゆる①計画）の一環として、昭和8年度の追加計画により、2隻が建造されました。これらはロンドン海軍軍縮条約の制限外艦艇として扱われ、日本海軍にとって初めての駆潜艇となったのです。当初の設計にはいくつかの問題があり、竣工後に性能改善工事が行われました。

艦型とデザイン

基本計画番号K3に基づくこの艦艇は、長さに対して乾舷が高いフラッシュデッキ型の船体を持ち、当初は不釣り合いな大型艦橋と上甲板のブルワークが特徴でした。舵は2枚の傾斜舵を装備していましたが、旋回性の不良から、以後の駆潜艇は通常の1枚舵に変更されることとなります。小型艦艇においては、舵が水面に近くなるために動作が不利となるケースも見られました。

兵装と設備

駆潜艇には通常、潜水艦に対する攻撃能力が求められ、艦前部には毘式40mm機銃を装備しました。これは発射速度が速いという特徴があり、実際には潜水艦の攻撃に効果があると認められました。また、機銃は改良を重ね、連続給弾数を増加させるとともに、照準器や望遠鏡も搭載されるようになりました。
また、爆雷を36個搭載し、爆雷投射機は未装備でしたが、後に第3号駆潜艇から装備されることになります。ソナーや無線機、航海用の光学兵装も取り揃えられており、試行錯誤の中で整備が進められました。

性能改善工事

1934年3月に竣工した2隻は、友鶴事件の影響を受け、復原性能の改善工事が行われました。上部構造物は縮小され、ブルワークは撤去されるなど、設計に大きな変更が加えられました。この改良により、排水量は約100トン増加し、速力は21ノットに低下しました。改良後の要目は、軽荷排水量340.852トン、満載排水量397.702トン、全長65.30メートル、最大幅5.90メートルというものです。

戦歴

太平洋戦争では、第一号型駆潜艇は南方へと進出し、哨戒や船団護衛任務に従事しました。1945年には1隻が被雷して沈没し、もう1隻は終戦後にシンガポール南方で海没処分されました。艦艇の命運を大きく左右する時代背景の中で、第一号型駆潜艇は重要な役割を果たしました。

同型艦の運命

第一号型駆潜艇に分類される2隻の艦は、どちらも独自の運命を辿りました。第一号駆潜艇は1946年に自沈処分を受け、第二号駆潜艇は1945年にアメリカの潜水艦の攻撃を受けて沈没しました。これらの艦艇は、当時の海軍の戦略や技術の進歩を象徴する存在でもありました。

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