第一議会

第一議会（第一回護国卿議会）とは

第一議会（または第一回護国卿議会）は、清教徒革命期のイングランド共和国で1654年9月3日から1655年1月22日まで開催された議会です。護国卿オリバー・クロムウェルが、彼と共同で政治を行うことを期待して招集しましたが、実際にはクロムウェルと議会の深刻な対立を招き、政治が停滞。半年も経たずに解散されるという結果になりました。

議会招集の背景

ランプ議会、ベアボーンズ議会を相次いで解散させたオリバー・クロムウェルは、1653年12月16日に統治章典に基づいて護国卿に就任しました。これにより、クロムウェルは事実上の元首としてイングランドを統治する立場となりました。新しい議会は1654年9月に開催される予定で、それまでの間、クロムウェルは国務会議と共に様々な法律を作成し、社会改革に取り組みました。彼はピューリタンの考えに基づいた道徳遵守を立法する一方で、宗教の寛容を目指し国民的和合を図ろうとしました。ただし、護国卿単独の立法は暫定的であり、議会の同意がなければ保留となるため、クロムウェルは議会の承認を得ることを期待していました。

議会の構成と開会

統治章典で改定された選挙制度に基づき、1654年夏に総選挙が行われました。議会はイングランド・ウェールズから400議席、スコットランド・アイルランドからそれぞれ30議席、合計460議席で構成されました。9月3日の開会式で、クロムウェルは秩序維持を重視し、平等主義を非難しました。彼は平等派と第五王国派に敵意を燃やし、秩序擁護の姿勢を示しました。これは、ランプ議会・ベアボーンズ議会が混乱をもたらしたというクロムウェルの苦い経験が反映されたものでした。そのため、彼は議会に協力を呼びかけ、各階層の人々が互いを尊重し協力する理想社会を唱えました。

議会とクロムウェルの対立

しかし、議会はクロムウェルの期待に応えませんでした。議会は護国卿体制そのものに疑問を投げかけ、政府の正統性を根本から動揺させたのです。政府への攻撃は統治章典への非難に及び、議会の会期が短いことや、予算審議の対象が限定されていることなど、議会の権限が弱い点を問題にしました。クロムウェルと国務会議が作った法案は見向きもされず、政治は立法から論争へと変わっていきました。

議会は護国卿に押さえ付けられることを拒否し、議会優位を主張しました。一方、クロムウェルは立法をせず論争ばかりする議会の姿勢を批判しながらも、統治章典の4つの基本的項目以外は変更しても良いと提案しました。しかし、約100人の議員が追放され、残った議員も消極的な賛成にとどまり、政争は収まりませんでした。信仰の自由も認めず財政難を理由に軍縮を進める議会に軍が反発し、クロムウェルは板挟みとなり、政治に見切りをつけました。

議会の解散とその後

1655年1月22日、クロムウェルは会期がほぼ5ヶ月経過したことを理由に議会を解散しました。第一議会の解散により統治章典は批准されず、政府の正統性は保証されませんでした。反対派の陰謀が続発する中、クロムウェルは軍政監設置で軍による統治を試みましたが、反発が強く、財政難もあり、軍事支配は限界を迎えました。その後、1656年9月17日に第二議会が招集され、政府の正統性を巡る問題が再び議題に上ることになります。

もう一度検索