第二議会

第二議会（第二回護国卿議会）とは

第二議会、または第二回護国卿議会は、清教徒革命期のイングランド共和国で開かれた議会（1656年9月17日 - 1658年2月4日）です。護国卿オリバー・クロムウェルの国王即位を巡る動きや、その後の王政復古への流れを決定づけた重要な期間でした。

議会開催の背景

1655年1月に第一議会が解散した後、共和国に対する反乱計画が相次ぎました。これに対処するため、クロムウェルは軍政監を設置し、ニューモデル軍による支配を強化しました。しかし、この軍事支配は地方官僚や国民からの強い反発を招き、加えて西インド諸島遠征やスペインとの戦争（英西戦争）などの軍事政策によって、共和国の財政は逼迫しました。

資金調達に苦慮したクロムウェルと国務会議は、1656年8月20日に選挙を実施し、9月17日に議会を召集しました。しかし、軍政監による選挙干渉や、国務会議による反政府派議員の排除（パージ）が行われたにもかかわらず、議会には多くの反政府派議員が選出され、政府は難しい立場に立たされました。

議会での対立と妥協

議会は、軍政監の財源であった王党派からの罰金継続を否決し、軍政監を廃止しました。また、英西戦争の戦費は承認したものの、その他の政策では政府に反対する姿勢を取りました。宗教に寛容なクロムウェルに対し、クエーカー教徒への処罰を強行するなど、政府への対決姿勢を強めました。

一方で、議会内にはクロムウェル支持派も存在し、軍と文民の護国卿支持勢力の間で対立が起きました。クロムウェルは文民勢力に接近し、側近のブロッグヒル男爵ロジャー・ボイルはクロムウェルに軍事支配からの転換を促しました。ジョン・サーローは体制安定のため、新たな国制を構想するようになりました。

国王即位の提案と拒否

1月にクロムウェル暗殺未遂事件が発生したことを契機に、議会ではクロムウェルを国王にすることで体制を安定させるという提案が持ち上がりました。2月には、統治章典に代わる憲法案「謙虚な請願と勧告」が議会に提出され、クロムウェルの国王即位が求められました。

しかし、ジョン・ランバートやチャールズ・フリートウッドなどの軍幹部や、独立派の聖職者など、クロムウェルの側近たちは国王即位に反対しました。クロムウェル自身も一貫して反対し続けたため、5月8日に彼は議会で即位を拒否し、議会もこれを受け入れました。5月25日、妥協が成立し、クロムウェルは国王にはならないものの、旧王政の機関を復活させるという新体制が確立しました。

新体制とその崩壊

謙虚な請願と勧告に基づき、第二院（上院）が設立され、国務会議は枢密院に改組されました。護国卿には後継者指名権や第二院議員指名権が与えられ、財政も強化されました。議会の権限も強化され、下院議員の恣意的追放の禁止、立法と課税への同意権などが認められました。

しかし、体制への不満から、ランバートが隠棲し、議会が再開されると動揺が広がりました。クロムウェルが支持派の下院議員を第二院へ移籍させた結果、アーサー・ヘジルリッジやトマス・スコットなどの共和主義者が下院で主導権を握り、体制批判を強めました。社会の混乱を招いたため、クロムウェルは2月4日に議会を解散させました。

その後

議会解散後、クロムウェルは単独で統治しましたが、健康を害し、7ヶ月後の9月3日に亡くなりました。息子のリチャード・クロムウェルが後を継ぎましたが、軍の支持を得られず、護国卿時代は終焉を迎えました。そして、王党派が勢力を回復し、王政復古へと繋がっていきました。

参考文献

今井宏『クロムウェルとピューリタン革命』清水書院、1984年。
田村秀夫編『クロムウェルとイギリス革命』聖学院大学出版会、1999年。
清水雅夫『王冠のないイギリス王 オリバー・クロムウェル―ピューリタン革命史』リーベル出版、2007年。
小泉徹『クロムウェル 「神の摂理」を生きる』山川出版社（世界史リブレット）、2015年。

関連項目

* オリバー・クロムウェル

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