第三世界の曙

『第三世界の曙』（原題: On the Third Day）は、1973年にエレクトリック・ライト・オーケストラ（ELO）が発表したスタジオ・アルバムです。

前作『ELO2』に収録されたプログレッシブ・ロック色の強い楽曲群とは対照的に、本作では比較的短い楽曲が多く、よりポップなサウンドが追求されています。ELOの音楽性の幅広さを示す作品と言えるでしょう。

ジャケットを巡るエピソード

アルバムのジャケットには、興味深いエピソードがあります。当初、メンバーの意向とは異なる「海賊の衣装をまとったメンバーがヘソを出している」というものが使用されていました。しかし、リマスター盤の発売以降は、ジェフ・リンが宇宙から地球を見下ろしているオリジナルの縦開きジャケットに戻されています。ジャケットの変更は、アルバムのイメージを大きく左右するため、ファンにとっては重要なポイントです。

マーク・ボランの参加

T・レックスのマーク・ボランが、このアルバムにギタリストとして参加していることも大きな話題です。彼の演奏は、「いとしのベル」「暗黒の夢魔」などの楽曲で聴くことができます。また、ボーナストラックの「Everyone's Born to Die」でも、彼のギターサウンドを楽しむことができます。グラムロックのスターであるボランの参加は、ELOの音楽に新たな彩りを添えました。

収録曲について

アルバムには、多様な楽曲が収録されています。

A面メドレー: 「母なる大海の裂けし時」に始まり、「青い鳥は絶えたのか？」「絶望のスーザン」「新世界の曙」と続き、再び「母なる大海の裂けし時」に戻るという構成で、コンサートでもメドレーとして演奏されていました。
ショウダウン: シングルカットされ、イギリスで12位を記録。チェロやバイオリンをフィーチャーしたサザンロック調のアレンジが特徴で、初期ELOの代表曲として、コンサートの定番曲となっています。
大いなる夜明け: リチャード・タンディーによるシンセサイザーが印象的なインストゥルメンタル作品。「いとしのベル」のB面としてシングルリリースされ、A面よりも多くラジオで放送されました。
山の大王の広間にて: エドヴァルド・グリーグのクラシック曲をELO流にアレンジしたカバー。原曲の荘厳さを残しつつ、ELOならではのロックサウンドが融合されています。

リマスター盤のボーナストラック

リマスター盤には、マーク・ボランが参加した貴重なボーナストラックが収録されています。彼のギタープレイをより深く堪能できる内容となっています。

演奏者

ジェフ・リン - ヴォーカル、ギター
ベヴ・ベヴァン - ドラム、パーカッション
リチャード・タンディー - ピアノ、モーグ、クラビネット、エレクトリックピアノ
マイク・デ・アルバカーキ - ベース、コーラス
マーク・ボラン - ギター
マイク・エドワーズ - チェロ
ウィル・ギブソン - バイオリン
ミック・カミンスキー - バイオリン
* コリン・ウォーカー - チェロ

『第三世界の曙』は、ELOの音楽的多様性と実験精神が詰まった作品です。ポップな楽曲からプログレッシブな要素、クラシック音楽のカバーまで、幅広い音楽性を持つELOの魅力を堪能できる一枚と言えるでしょう。

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