第三会

カトリック教会における第三会

カトリック教会において、第三会（テルティウス・オード、ラテン語: tertius ordo）とは、盛式修道会の指導の下、世俗的な生活を送りながらキリスト教精神に基づいた聖性を追求する信徒団体です。修道誓願を立てず共同生活を送らないため修道会会員ではありませんが、一般信徒とは異なり、より高度な霊的成長を目指します。

第三会の起源と歴史

中世ヨーロッパでは、ヴァルド派などの在俗説教者グループが教会の教義から逸脱する傾向が見られました。この状況を背景に、世俗生活を送りながらも修道会の規律と指導の下で信仰生活を送る団体として、13世紀に第三会が登場しました。世俗に身を置きながら聖性追求を志す信徒の受け皿となったのです。

フランシスコ会第三会：代表的な存在

最も有名で影響力のある第三会として知られるのが、フランシスコ会第三会です。フランシスコ会は、男子修道会を第一会、女子修道会を第二会とし、さらに在俗信徒のための第三会を設立しました。1221年に認可されたフランシスコ会第三会は、会員が修道誓願を必要としないため結婚も許されますが、フランシスコ会の精神に基づいた規律に従うことが求められます。

第三会の広がりと多様性

15世紀以降、多くの修道会がフランシスコ会にならい、独自の第三会を設立するようになりました。現在では、アウグスチノ会、ドミニコ会、マリアのしもべ会、カルメル会、ミニミ会、三位一体修道会、プレモントレ会、ベネディクト会、サレジオ会（サレジアニ・コオペラトーリ）など、様々な修道会に第三会が存在しています。それぞれの修道会の精神に基づき、独自の活動を行っています。

現代における第三会

1983年の教会法典において、第三会は信心会などと共に「キリスト信者の会」に分類されています。これは、第三会がカトリック教会における重要な構成要素であり、教会全体の霊的発展に貢献する存在であることを示しています。現代においても、第三会はそれぞれの修道会の精神を受け継ぎ、祈りの生活、慈善活動、社会奉仕などを通して、キリスト教信仰の深化と社会への貢献に努めています。

第三会と他の信徒団体との違い

第三会は、一般の信徒とは異なり、特定の修道会の精神と規律に従って生活を送る点が大きく異なります。また、修道会会員とは異なり、修道誓願を立てたり共同生活を送ったりしない点が特徴です。しかし、一般信徒よりも高度な霊的成長を目指し、より深くキリスト教信仰を実践しようとする点で共通点もあります。

律修第三会

一部の第三会は修道誓願を立て、律修第三会(tertius ordo regularis)と呼ばれます。これらは、世俗生活を送りながらも修道会会員と同様の規律に従い、より厳格な生活を送ることを目指す団体です。

まとめ

第三会は、中世から続く歴史を持つ、カトリック教会における重要な信徒団体です。修道会の指導の下、世俗生活を送りながらキリスト教的完徳を目指す第三会は、多様な活動を通して教会と社会に貢献し続けています。それぞれの第三会は、所属する修道会の精神に基づいた独自の活動を行っており、その多様性も大きな特徴となっています。

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