第二〇五海軍航空隊

第二〇五海軍航空隊

第二〇五海軍航空隊は、太平洋戦争末期に編成された日本海軍の航空部隊です。南西諸島防衛を担う主力偵察機隊として、最前線で戦闘、対地銃撃、対艦攻撃など多岐にわたる任務に従事しました。

沿革

フィリピン戦線で壊滅的な打撃を受けた第一航空艦隊の一部が台湾へ撤退。その残存兵力を再編し、台湾と沖縄の防衛を目的として4つの航空隊が新たに編成されました。第二〇五海軍航空隊は、そのうちの一つとして戦闘機隊として再編され、静岡県の藤枝飛行場を原隊として、台湾の台中を主力基地としました。

主力機は零式艦上戦闘機であり、爆撃訓練を積んだ搭乗員を擁し、爆装零戦隊として機能しました。沖縄戦が開始されると、沖縄方面への爆撃や強襲作戦が主な任務となりました。しかし、昭和20年5月の第六次菊水作戦以降の行動は、台湾に増援された他の偵察部隊の行動と混同され、詳細が不明確な部分が多くなっています。

戦歴

昭和20年（1945年）
2月5日：藤枝飛行場を原隊として開隊。第一航空艦隊に所属し、3個偵察隊、計144機（定数）で編成されました。
3月28日：沖縄地上戦に備え、石垣島飛行場と宜蘭飛行場へ派遣隊を前進させました。石垣島派遣隊は特攻隊「大義隊」を編成しました。
4月1日：沖縄上陸戦が開始。第一大義隊が爆装零戦6機で宮古島沖の艦艇に突入しましたが、戦果はなく3機を失いました。
4月2日：第二大義隊が爆装零戦2機で沖縄沖の艦艇に突入しましたが、戦果はなく1機を失いました。また、本隊8機も沖縄沖の艦艇に特攻を試みましたが、戦果はなく3機が突入しました。
4月3日：第三大義隊が出撃しました。
4月4日：第四大義隊4機が、3波に分かれて艦艇攻撃を行いましたが、戦果はなく1機を失いました。
4月5日：第五大義隊2機が艦艇攻撃を行いましたが、戦果はなく1機を失い、石垣島派遣隊は戦力を失いました（保有4機）。
4月6日：菊水一号作戦が発動。4機で第七六五海軍航空隊を護衛しました。
4月9日：2機で宮古島沖の艦艇を攻撃しました。
4月12日：菊水二号作戦が発動。13日まで延べ18機が連日与那国島沖の艦艇を攻撃しましたが、2機を失いました。
4月16日：菊水三号作戦が発動。2機が八重山諸島沖の敵水上部隊を銃撃しました。
5月8日：菊水六号作戦が発動。宜蘭派遣隊10機が特攻を行い、突入4機を含む5機を失いました。
5月15日：4機が特攻を目指しましたが、敵と遭遇せず引き返しました。この頃から、第二〇五海軍航空隊単独での行動は不明確となり、台湾に展開する他の偵察機隊と合同で散発的な偵察行動に従事するようになりました。
6月7日：最後の大義隊が出撃。8機が宮古島沖の船団に突入しました。
6月15日：第一航空艦隊が解散し、高雄警備府第29航空戦隊に転籍しました。終戦と共に解隊されました。

5月後半以降は、第二〇五海軍航空隊単独での行動はほとんど見られなくなり、他の戦闘隊と混同されている状況が窺えます。5月にはマレー方面から第三八一海軍航空隊が台湾方面へ撤退していますが、第二〇一海軍航空隊をはじめ、機体を得られない搭乗員が台湾に多数残留しており、機体増強の機会はなかったと考えられます。

主力機種

零式艦上戦闘機

歴代司令

玉井浅一 中佐：昭和20年3月1日 - 終戦後解隊

関連項目

大日本帝国海軍航空隊一覧

参考文献

『日本海軍編制事典』（芙蓉書房出版　2003年）
『航空隊戦史』（新人物往来社　2001年）
『日本海軍航空史2』（時事通信社　1969年）
『戦史叢書　海軍航空概史』（朝雲新聞社　1976年）
『戦史叢書　沖縄方面海軍作戦』（朝雲新聞社　1968年）
* 『連合艦隊海空戦戦闘詳報別巻1』（アテネ書房　1996年）

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