第二ファウンデーション

第二ファウンデーション（Second Foundation）

アイザック・アシモフによるSF小説『第二ファウンデーション』は、壮大なファウンデーションシリーズの第3巻にあたります。この作品は、銀河系の未来を託された人々の葛藤と、未知なる存在への探求を描き出しています。

概要

物語は、銀河百科事典編纂を目的とする「ファウンデーション」が設立されてから約300年後、銀河の辺境にある惑星ターミナスを舞台に展開します。ファウンデーションは勢力を拡大する一方で、突然変異体である「ミュール」の出現により危機に瀕します。ミュールの支配下で陥落したかに見えたファウンデーションでしたが、その裏には、謎に包まれた「第二ファウンデーション」の存在がありました。

本作は、この第二ファウンデーションを探索する物語であり、その位置が最後に読者へと明かされる構成となっています。

あらすじ

物語は大きく分けて二つの部分から構成されています。

第1部：ミュールによる探索

第二ファウンデーションの手がかりは、ハリ・セルダンが残した二つのヒントのみ。「ファウンデーションの反対側の端」に位置し、「星界の果て」にあるというものでした。

惑星カルガンを拠点とするミュールは、自らの異能の力に対抗する存在が、組織的に人材を潰していることに気づき、第二ファウンデーションを主敵と定め探索を開始します。将軍ハン・プリッチャーと若きベイル・チャニスが探索を命じられますが、チャニスは独断で惑星タゼンタへ。トランターの夜空から見える「星界の果て」がタゼンタと符合するとプリッチャーを説得します。

しかし、ロッセムにてミュールは、チャニスが第二ファウンデーションの一員であることを知り、精神制御能力で対決。チャニスを打ち破り、第二ファウンデーションの位置がロッセムであると確信しますが、そこに現れた第一発言者によって、それさえも罠であったことが明かされます。第一発言者はミュールの精神に干渉し、戦いを終結させます。

第2部：ファウンデーションによる探索

ミュールの死後、ファウンデーションは再独立を果たしますが、第二ファウンデーションの存在に対する危機感は消えません。ベイタの息子であるダレル博士は、娘のアーカディと共に第二ファウンデーションの情報を集めようと奔走します。

アーカディは、カルガンの支配者ステッティン卿に捕らえられますが、脱出に成功し、トランターへと向かいます。その後、カルガンとファウンデーションの間で戦争が勃発。苦戦を強いられたファウンデーションでしたが、最終的には勝利を収めます。ダレル博士らは、アーカディからの伝言を基に、第二ファウンデーションがターミナスにあると突き止め、構成員を捕らえることに成功します。

しかし、それらは全て第二ファウンデーションの策略でした。ファウンデーションが自力で危機を乗り越え発展していくことこそが、セルダン計画の鍵であり、第二ファウンデーションは影からそれを支える存在だったのです。物語は、第一発言者と「学生」の対話を通じて、第二ファウンデーションの真の位置が示唆される形で幕を閉じます。

登場人物

ミュールによる探索

ミュール: 突然変異体で、卓越した精神能力を持つ。
ハン・プリッチャー: ミュールの将軍。
ベイル・チャニス: 若き有能な青年。
第一発言者: 第二ファウンデーションの指導者。

ファウンデーションによる探索

アーカディ・ダレル: ダレル博士の娘。
トラン・ダレル: アーカディの父で、電気神経学者。
ペアレス・アンソーア: ダレル博士の協力者。
ジョウル・ターバー: 報道記者。
ホマー・マン: 図書館員。
エルヴェット・セミック: 物理学の名誉教授。
ステッティン卿: 惑星カルガンの支配者。
レヴ・メイルス: ステッティン卿に仕える大臣。
カリア夫人: ステッティン卿の愛人。
プリーム・パルヴァー: 惑星トランターの農協代表。

用語解説

第一発言者: 第二ファウンデーションの事実上の指導者。
プライム・ラディアント: セルダン計画の方程式を投影する装置。

『第二ファウンデーション』は、SF作品としての面白さはもちろんのこと、歴史、社会、心理など、様々なテーマを内包した深遠な作品です。ぜひ、その壮大な世界観に浸ってみてください。

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