第二共和国 (大韓民国)

第二共和国の概要

第二共和国とは、1960年の四月革命から始まり、1961年5・16軍事クーデターによって終焉を迎えた大韓民国の政治体制を指します。この政体は、李承晩による第一共和国の独裁体制を打破したことで誕生し、政治的な改革と自由化を目指しました。特に、議院内閣制の導入は、第一共和国との大きな違いを強調するものでした。

設立の経緯

1960年4月、国民の強い支持を受けた四月革命により、李承晩政権が倒されました。その後、許政が率いる暫定政権が設立され、6月15日には新しい憲法が制定されました。この憲法の特徴は、強権的な大統領制を廃止し、議院内閣制を採用することで、国務総理が実権を握り、大統領は儀礼的な存在となることでした。これにより国民の基本的な権利が保障されるとともに、地方自治や二院制の国会も整備されました。

1960年7月29日には新たな議会選挙が行われ、民主党が第一党となり、8月13日には尹潽善が大統領、張勉が国務総理に就任しました。

政治的動向

第二共和国政府は、自由化と改革を強力に推進しました。この中で、李承晩政権下で停滞していた日韓国交正常化交渉も活発に行われました。しかし、政権内では新派と旧派の対立が激化し、特に尹潽善と張勉の間での政治的確執が問題となりました。このような政治的混乱は、政権の弱体化や腐敗を引き起こしました。

国民は政治への参加意識が高まり、特に学生や左翼活動家たちが中心となり積極的に意見を主張しました。この結果、全国で数千に及ぶデモが発生しました。特に学生たちは朝鮮半島の統一を求め、北朝鮮との対話を促す動きも見られました。

政府は、民間のデモや運動をある程度容認する一方で、第一共和国時代における不正を行った官僚や警官への追放措置を講じました。結果として、約4万人が調査を受け、2000人以上が追放されることになりました。

経済状況

経済面においても、第二共和国は多くの課題を抱えていました。失業率が上昇し、物価も高騰する中、政府は独自の五ヵ年計画を策定したものの、軍事クーデターによってその実行は困難となりました。特にドルに対するウォンの価値低下が著しく、経済の停滞が国民の不満を募らせました。

終焉

国民の自由を重視する第二共和国は、保守勢力にとっては「社会の不安定化」の象徴と見なされ、特に軍部が不安感を強めました。最終的に1961年5月16日、朴正煕少将とその仲間による軍事クーデターが実施され、第二共和国は崩壊を迎えました。この出来事は、李承晩政権の教訓を活かす形での新たな統治体制の創出を試みるきっかけともなりました。

2022年の研究によれば、この時期には国民や学生たちが朴正熙らに対して支持を寄せるようになり、結果的に新たな政治体制へと移行していく流れが見られました。

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