第二号新興丸

第二号新興丸

第二号新興丸（だいにごうしんこうまる）は、日本海軍が第二次世界大戦中に特設砲艦兼敷設艦として運用された艦船です。この船は、東亜海運が所有する貨物船「新興丸」を徴用し、同名の艦船と区別するために「第二号」と命名されました。

船歴

「新興丸」は1938年に浦賀船渠で起工され、1939年に竣工しました。この艦は、2000総トン級貨物船の一環であり、他の艦船と同様の設計がなされましたが、主機には当時一般的な三連成レシプロエンジンではなく、浦賀船渠が開発したタービン付複二連成機関が採用されました。この新型エンジンにより、最高出力は向上し、商船としての性能が強化されています。

当初は大阪商船が所有していましたが、1939年に東亜海運に移籍しました。この新船主は、当時の国策企業として設立されたものです。日米関係の悪化を受けて、1941年に日本海軍に徴用され、特設砲艦としての任務に就くこととなりました。

特設砲艦としての活動

「第二号新興丸」は海軍により各種の武装や機雷敷設能力が追加され、主に北海道や樺太、千島列島周辺での戦闘や護衛任務に従事しました。さらに、対空兵器の強化やレーダーの装備も施され、戦闘能力を高めていきました。

1943年にはアメリカ海軍の潜水艦による攻撃を受けたものの、大きな損害は免れました。その後、1945年には樺太からの民間人輸送を担うこととなり、多くの人々を救助する重要な役割を果たしました。艦船として唯一残った「第二号新興丸」は、戦後の復員輸送にも活躍しました。

三船殉難事件

1945年8月、第二号新興丸は樺太からの民間人輸送中に、ソ連海軍の潜水艦から攻撃を受けました。攻撃の際、民間人約3600人を乗せていた「第二号新興丸」は、留萌沖で魚雷攻撃を受け、右舷の艦船部分が損傷しました。乗船していた人々は、大混乱の中で何度も救助を試みましたが、死者は250人に上り、多くの人が行方不明となりました。この事件は「三船殉難事件」として知られています。

戦後の運命

終戦後、「第二号新興丸」は復員輸送船として定められ、樺太からの引揚げを手伝いました。1946年には民間船に戻され、名前が「新興丸」に再び変更されました。以降も船は数回の売却を経て、最終的には1992年に船籍が抹消されるまで海で活躍しました。

遺産

「第二号新興丸」は、日本の商船として最後まで活躍した艦船の一つであり、特設艦船の歴史において重要な役割を果たしました。その功績と犠牲は、現在においても多くの人々によって語り継がれています。

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