第百一号型掃海艇

第百一号型掃海艇

第百一号型掃海艇は、太平洋戦争という特殊な状況下において、日本海軍がその戦力に加えた珍しい艦艇群です。これらは新規に設計・建造されたものではなく、敵国であったイギリス海軍が香港で建造を進めていた掃海艇を、日本側が接収して完成させた捕獲艦艇に分類されます。同型艇は2隻が存在しました。

建造経緯

この艦型のもとになったのは、イギリス海軍向けのバンゴール級掃海艇でした。太平洋戦争が勃発し、日本軍が香港を占領した際、現地ではイギリス海軍のために建造中だった2隻のバンゴール級掃海艇が存在しました。日本側はこれらの未完成艦を接収し、自国の戦力として完成させることを決定しました。接収された時点で、それぞれの艦の船体工事はおよそ60%と30%の進捗度でした。

完成工事にあたっては、必要な資材の多くは香港現地で調達されましたが、艦の心臓部ともいえる機関や、戦闘に不可欠な兵装類の大半は日本本国から輸送され装備されました。また、原設計から一部変更が加えられており、例えば船首楼が短縮されるなどの改修が行われています。

なお、類似の事例として、日本陸軍も香港地区で未完成の状態だったバンゴール級掃海艇の一隻を接収し、「暁辰丸」として完成させて哨戒任務に投入しています。

同型艇と運用

完成した2隻は、それぞれ「第百一号掃海艇」と「第百二号掃海艇」と命名され、日本海軍籍に編入されました。主に船団護衛任務に就き、南西方面や東シナ海方面の海上交通路の防衛に従事しました。

• - 第百一号掃海艇

1943年（昭和18年）2月から3月にかけて進水した後、翌1944年（昭和19年）4月10日に竣工しました。竣工と同時に日本海軍籍に編入され、横須賀鎮守府の所属となり、後に第2南遣艦隊第21特別根拠地隊に編入されました。主に南西方面における船団護衛任務に従事しましたが、1945年（昭和20年）1月12日、仏印（現在のベトナム南部）沖合でアメリカ軍艦載機の激しい攻撃を受け、戦没しました。同年3月10日付で除籍されています。

• - 第百二号掃海艇

第百一号と同様に1943年（昭和18年）2月から3月に進水し、やや遅れて1944年（昭和19年）9月28日に竣工しました。竣工後、横須賀鎮守府籍となり、第2遣支艦隊に編入されました。主に東シナ海方面での船団護衛任務に従事しました。終戦時は大湊付近に所在し、幸運にも戦火を免れました。

終戦後、1945年（昭和20年）11月30日に日本海軍から除籍された後、翌12月1日には大湊地方復員局の所管する掃海艦に指定され、日本の沿岸に敷設された機雷の掃海作業に従事しました。同年12月20日には艦名を「掃第百二号」と改称しています。1946年（昭和21年）9月1日には特別輸送艦に指定され、掃海任務と並行して復員輸送などにも従事した可能性があります。最終的に、1947年（昭和22年）11月20日、本来の建造国であるイギリスに引き渡されることになり、浦賀船渠にて解体処分されました。

第百一号型掃海艇は、戦時下の混乱と物資不足の中、捕獲した未完成艦を戦力として活用しようとした日本海軍の一端を示す存在であり、それぞれが異なる数奇な運命を辿った艦艇でした。

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