第1次ロッキンガム侯爵内閣

第1次ロッキンガム侯爵内閣：18世紀イギリス政治の一断面

1765年から1766年にかけて、イギリスは第1次ロッキンガム侯爵内閣の治世下にありました。首相にはロッキンガム侯爵が就任し、内閣は主に彼を支持するロッキンガム派によって構成されました。しかし、内閣の影の支配者とも言える存在がいました。それは、王璽尚書を務めた元首相であるニューカッスル公爵です。彼の豊富な政治経験と影響力は、ロッキンガム侯爵内閣の政策決定に大きな影響を与えたと考えられます。

興味深いことに、閣僚の多くはジョッキークラブの会員であり、ロッキンガム侯爵自身もその主要なパトロンの一人でした。この事実から、当時のイギリス政治における貴族社会の強い影響力と、政治と社交界の密接な関係を垣間見ることができます。

しかし、この内閣は外交面において大きな課題を抱えていました。ロッキンガム侯爵自身は外交に詳しくなく、その結果、イギリスはヨーロッパにおいて孤立を深めていくことになります。この外交政策の失敗は、内閣の崩壊を招く大きな要因の一つとなったと考えられます。

内閣改造についても触れておきましょう。1765年10月には無任所大臣であったカンバーランド公爵の死去、1766年5月には北部担当国務大臣であったグラフトン公爵の辞任という人事異動がありました。グラフトン公爵の後任には、それまで南部担当国務大臣を務めていたヘンリー・シーモア・コンウェイが就任し、南部担当国務大臣にはリッチモンド公爵が新たに任命されました。これらの異動は、内閣運営に一定の影響を与えたことは想像に難くありません。

閣外大臣としては、ポートランド公爵が宮内長官を務めていました。彼は内閣の中枢に位置する重要な閣僚であり、内閣の安定維持に貢献したと考えられます。

最終的に、第1次ロッキンガム侯爵内閣は1766年に崩壊しました。その後の首相には大ピット（後のチャタム伯爵）が就任し、チャタム伯爵内閣が成立します。その後、ロッキンガム侯爵は1782年に再び首相の座に就きますが、その内閣は第2次ロッキンガム侯爵内閣として歴史に記録されることになります。1765年から1766年までの内閣は、その後成立した内閣と区別するために、第1次ロッキンガム侯爵内閣と呼ばれています。

この第1次ロッキンガム侯爵内閣は、短い期間でしたが、18世紀イギリス政治において重要な役割を果たしました。その政策や内閣運営、そして崩壊に至るまでの経緯は、後のイギリス政治史に多大な影響を与え、現代においても研究の対象となっています。

参考文献

Browning, Reed (1975). The Duke of Newcastle. Yale University Press. ISBN 978-0-300-01746-5
Cook, Chris; Stevenson, John (28 February 1980). British Historical Facts: 1760–1830. Palgrave Macmillan UK. ISBN 978-0-333-21512-8
Hibbert, Christopher (1999). George III: A Personal History. Penguin Books. ISBN 978-0-14-025737-3
Simms, Brendan (2008). Three Victories and a Defeat: The Rise and Fall of the First British Empire. Penguin Books. ISBN 978-0-14-028984-8

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