第1次山縣内閣

第1次山縣内閣

第1次山縣内閣は、内務大臣であり陸軍中将、伯爵である山縣有朋が、1889年12月24日から1891年5月6日まで日本の第3代内閣総理大臣を務めた内閣です。この内閣は、特に日本が近代国家へと舵を切り始める時期にあたります。

内閣の構成と任命

山縣内閣は、1889年に発足し、在職日数は499日となりました。内閣の中心となる人事では、内閣書記官長や法制局長官が同年12月26日に任命されました。この時期の日本は、内閣の権限や役割が明確に定義されていなかったため、内閣官制の導入が大きな意義を持ちました。

前内閣との関係

内閣の発足は、前内閣である黒田内閣の辞職によるもので、黒田清隆首相は条約改正交渉の失敗を背景に総辞職を決意しました。しかし、明治天皇は内大臣の三条実美を後任の内閣総理大臣に任命しましたが、三条は病気により首相職を辞任。その結果、山縣が新しい首相に任命されました。この内閣官制の導入に伴い、内閣総理大臣の地位は「同輩中の首席」とみなされるようになり、権限の集中を減らしました。

社会状況と政策

1890年には、ついに大日本帝国憲法が施行され、これにともなって第1回帝国議会が開催されました。この新しい議会制度の導入は、日本にとって重要な一歩でしたが、山縣内閣には多くの困難が待ち受けていました。衆議院では、自由党や改進党などの民党勢力が多数を占め、山縣内閣は法案や予算案の通過において厳しい状況に直面します。

特に予算案審議では、政府案に対して野党からの強い反対がありました。政府は予算の約26％を陸海軍経費に当て、この必要性として「主権線の守護と利益線の防護」を挙げましたが、議会側は「民力休養・政費節減」を訴え、予算案の削減が進みました。松方蔵相は議会と対立し、特に自由党内では内紛がありました。

この混乱の中、山縣は議会との妥協を図り、旧愛国公党系の土佐派と交渉を行いました。1891年2月20日には大成会が緊急動議を提出し、その内容に賛同した議員が造反し、動議が可決されました。このため、衆議院本会議では3月2日に予算案が可決されましたが、山縣内閣は初の議会を苦労しながら乗り越える必要がありました。

総辞職と後任

山縣内閣は、内閣運営に苦労しながらも、4月9日に総辞職を決意します。山縣は伊藤博文元首相を後任として推しましたが、伊藤が固辞したため、松方蔵相が新首相に就任することになります。そして、5月6日に内閣は総辞職を最終的に実施しました。

政策の影響

この期間中、山縣内閣は施政方針演説や財政演説を行い、そのスタイルは今後の日本政府の演説スタイルに大きな影響を与えることとなりました。また、教育勅語の発布や、府県制・郡制の導入にも関与し、これらの政策は日本の行政機構の基礎を築くことに寄与しました。

結局のところ、第1次山縣内閣は、日本の近代化に向けた重要な一歩を踏み出した内閣であり、その政策や運営方針は後の日本における政治体制の形成に大きな影響を与えました。

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