第10回有馬記念

第10回有馬記念

1965年12月26日、千葉県の中山競馬場で行われた第10回有馬記念は、特に注目を集めたレースでした。この競走は芝コースの外回りで行われ、距離は2600メートル。参加する馬たちは、過去の成績やその年の実績からも非常に期待されていました。そして、その中心にいたのはシンザン。戦後初の牡馬クラシック三冠を制したこの馬は、天皇賞・春を回避したものの、宝塚記念と天皇賞・秋での勝利を経て四冠馬となったのです。

しかし、シンザンの走りには波乱が待ち受けていました。レース前、彼の主戦騎手である栗田勝が騎乗依頼を無視する形になったため、急遽他の騎手に乗り替わることになりました。これにより、当初はシンザンに騎乗するつもりだった加賀武見騎手が依頼を断り、結果的に彼の厩舎から松本善登騎手が乗ることが決定しました。この出来事は多くのメディアに取り上げられ、シンザンが「無敵」であっても「死角がある」のではないかという報道が広まりました。

レース当日、天候は曇り、芝は稍重。出走馬は合計8頭で、競馬場のファンたちは期待を胸にレースを見守りました。そしてシンザンは後方中団から着実にレースを進めていくスタイルを取りましたが、ミハルカスが大外へ逸走する波乱が発生。これは加賀騎手が考えた戦術で、シンザンの切れ味を鈍らせる目的があったようです。

しかし松本騎手はミハルカスの外側へシンザンを導き、その結果シンザンは姿を消してしまいました。多くの観客は一瞬不安を覚えましたが、次に映し出された彼の姿は力強く坂を駆け上がり、やがて先頭でゴールを駆け抜けていました。その瞬間、シンザンは八大競走のうち、牝馬限定以外のすべてのレースを制覇し、史上初の五冠馬としての称号を手に入れました。

また、シンザンはこのレースによって、GⅠ級競走6連勝という記録も打ち立てました。競馬において、彼の偉業は大きな意味を持ち、武田調教師も八大競走完全制覇を達成しました。これは現在2023年においても極めて稀な記録です。シンザンが有馬記念の1週間前に登場したオープン戦での2着も、彼にとって重要な経験となり、武田調教師はこれを調教代わりと考えていました。

このようなドラマがありながら、シンザンはファンに多くの感動を与え、競馬史に名を刻む存在となったのです。今後もシンザンの名は、多くの競馬ファンの胸に生き続けることでしょう。

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