第16回クリティクス・チョイス・アワード

第16回クリティクス・チョイス・アワードは、米国の放送映画批評家協会（Broadcast Film Critics Association, BFCA）が、2010年に公開された優れた映画作品および関係者を表彰するために開催した映画賞です。この年の授賞式は2011年1月14日に執り行われ、各部門の受賞結果が発表されました。

主要部門の受賞結果

最高賞である作品賞には、デヴィッド・フィンチャー監督の『ソーシャル・ネットワーク』が輝きました。この作品は、Facebook創業を描き、現代社会への鋭い洞察を含む物語が高く評価されました。作品賞には他に、『127時間』『ブラック・スワン』『ザ・ファイター』『インセプション』『英国王のスピーチ』『ザ・タウン』『トイ・ストーリー3』『トゥルー・グリット』『ウィンターズ・ボーン』といった、その年の話題作・有力候補作が多数ノミネートされていました。

監督賞も、作品賞を受賞した『ソーシャル・ネットワーク』のデヴィッド・フィンチャーが受賞しました。候補には、ダーレン・アロノフスキー（『ブラック・スワン』）、ダニー・ボイル（『127時間』）、トム・フーパー（『英国王のスピーチ』）、クリストファー・ノーラン（『インセプション』）など、個性豊かな監督たちが名を連ねていました。

主演男優賞には、『英国王のスピーチ』で吃音に悩む英国王を演じたコリン・ファースが選ばれました。ジェフ・ブリッジス（『トゥルー・グリット』）、ジェシー・アイゼンバーグ（『ソーシャル・ネットワーク』）、ジェームズ・フランコ（『127時間』）らがノミネートされていました。

主演女優賞は、『ブラック・スワン』で難役を演じきったナタリー・ポートマンが受賞しました。候補者には、アネット・ベニング（『キッズ・オールライト』）、ニコール・キッドマン（『ラビット・ホール』）、ジェニファー・ローレンス（『ウィンターズ・ボーン』）といった実力派女優が並びました。

助演部門では、『ザ・ファイター』からクリスチャン・ベールが助演男優賞を、メリッサ・レオが助演女優賞を受賞し、同作が両部門を制覇するという結果となりました。助演男優賞にはジェフリー・ラッシュ（『英国王のスピーチ』）、助演女優賞にはエイミー・アダムス（『ザ・ファイター』）、ヘレナ・ボナム＝カーター（『英国王のスピーチ』）、ヘイリー・スタインフェルド（『トゥルー・グリット』）らがノミネートされていました。

若手俳優賞は、『トゥルー・グリット』のヘイリー・スタインフェルドが受賞しました。ジェニファー・ローレンスやクロエ・グレース・モレッツといった、その後の活躍も目覚ましい若手女優たちが候補となっていました。

アンサンブル演技賞には、『ザ・ファイター』が選出されました。他の候補には『キッズ・オールライト』『英国王のスピーチ』『ソーシャル・ネットワーク』『ザ・タウン』などがありました。

脚本・技術・その他部門

脚本賞は、オリジナル脚本部門で『英国王のスピーチ』（デヴィッド・サイドラー）が、脚色賞部門で『ソーシャル・ネットワーク』（アーロン・ソーキン）がそれぞれ受賞しました。

技術部門では、撮影賞、美術監督賞、編集賞、視覚効果賞、音響賞でクリストファー・ノーラン監督の『インセプション』が受賞するなど、複数の賞を獲得しました。衣装デザイン賞とメイクアップ賞は『アリス・イン・ワンダーランド』が受賞しています。

特定のジャンルを対象とした部門では、アニメ映画賞を『トイ・ストーリー3』が、アクション映画賞を『インセプション』が、コメディ映画賞を『小悪魔はなぜモテる?!』がそれぞれ受賞しました。外国語映画賞はスウェーデンの『ミレニアムドラゴン・タトゥーの女』が、ドキュメンタリー映画賞は『スーパーマンを待ちながら』が受賞しています。テレビ映画賞は『ザ・パシフィック』が受賞しました。

楽曲賞は『127時間』より「If I Rise」が、音楽賞は『ソーシャル・ネットワーク』（トレント・レズナー、アッティカス・ロス）が受賞しました。

第16回クリティクス・チョイス・アワードは、『ソーシャル・ネットワーク』と『インセプション』が主要部門を含む複数の賞を獲得し、作品力の高さを改めて示す結果となりました。また、『英国王のスピーチ』も主演男優賞やオリジナル脚本賞など主要な賞を受賞し、アカデミー賞に向けて有力な一作であることを印象づけました。放送映画批評家協会によるこの年の選考は、その後の映画賞レースの行方を占う上でも注目の結果となりました。

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