第17回宝塚記念

第17回宝塚記念の詳細

1976年6月6日、京都競馬場で開催された第17回宝塚記念は、数々の名馬が集結した豪華なレースとなりました。この年の宝塚記念は、厩務員労働組合の争議による日程変更で、1974年以来2年ぶりに京都で行われることとなり、全国発売が開始された年でもありました。

出走した馬たちは、天皇賞を制したフジノパーシアやエリモジョージをはじめ、菊花賞や有馬記念を勝った実力馬、さらにはオークスを獲得した馬も参戦し、まさに名馬揃いの競演となりました。

レースの中心的存在となったのは、1番人気を誇るフジノパーシアです。前年の天皇賞（秋）では強風と不良馬場の影響を受けながらも見事な勝利を収めた馬で、中団からの追走を活かし、4コーナーでのスパートで先頭に立つ姿は圧巻でした。キクノオーなど他の競走馬が直線で伸びを欠く中、堂々と逃げ切って優勝しました。

2番人気のロングホークは、前年の皐月賞でカブラヤオーに次ぐ2着の成績を持ち、十分な期待を受けて出走しましたが、エリモジョージの果敢な逃げに敗れ、クビ差での惜敗となりました。これはファン投票で第1位に選ばれた馬が出走するのは1973年のタイテエム以来3年ぶりのことでした。

続く3番人気のイシノアラシは、前年の菊花賞でカブラヤオーに代わり1番人気に推されましたが、雨後の稍重馬場で苦戦し、4着に終わっています。それでも、後の有馬記念で見事な逆転を果たし、強豪相手に優勝を飾る快挙を成し遂げました。

また、菊花賞馬のコクサイプリンスやエリモジョージなども出走し、それぞれ異なる戦略を持って挑む姿が見られました。エリモジョージは前回（春）の天皇賞で12番人気ながら勝利を収めた馬ですが、この宝塚記念では7着と振るいませんでした。

レース展開

レースが始まると、エリモジョージが積極的に逃げました。しかし、フジノパーシアは重馬場を得意とし、追撃を振り切ってパフォーマンスを発揮しました。最終的にフジノパーシアが優勝し、トウコウエルザが3着に入る結果となりました。一方、イシノアラシは8着、コクサイプリンスは10着と、名の知れた馬たちが苦戦する様子も印象的でした。

競走結果

レースは晴天で芝2200メートルのコースで行われ、馬場状態は重となっていました。

名実況とその後

当日の実況を担当した杉本清アナウンサーの「あなたの、そして私の夢が走っています」という言葉は、宝塚記念の象徴的な名言として人々の記憶に残りました。

優勝したフジノパーシアは、その後ワシントンDCインターナショナルに日本代表として出場しましたが、エリザベス・テイラーの来場による騒動に影響され、結果的に6着に沈みました。このイベントには、取材のために多くの記者が集まり、テイラーを取材するために競走馬に対してフラッシュを焚いて撮影するなど、騒がしい状況がありました。また、この年のレースには記録的な来場者数があり、その多くがテイラー目当てであったとも言われています。

レースが終わった後、フジノパーシアの手綱を取った大崎騎手は、「この騒ぎが無かったら2着には入っていただろう」と語るなど、当時の熱気と共にこのレースは今もなお語り継がれています。

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