第35回高松宮杯競輪

第35回高松宮杯競輪



1984年5月31日から6月5日まで、大津びわこ競輪場を舞台に、第35回高松宮杯競輪が開催されました。この大会は、中野浩一選手が2年連続での完全優勝を狙うという注目のもと、波乱に満ちた展開となりました。

決勝戦のドラマ



決勝戦では、中野浩一選手が悲願の同大会優勝を目指し、その対抗として、岡山県出身の山口国男山口健治の兄弟が変則的なフラワーラインを形成しました。しかし、レースは予想外の展開となります。

レースの詳細



レースは、ジャン前より片岡選手が正攻法で先行。内側には佐々木、中野、井上、藤巻が、外側には国松、山口健、山口国、佐藤が併走する形となりました。ジャンが鳴り、誘導員のペースが上がると、片岡選手が主導権を握ります。しかし、残り1周というところで、山口健治選手が中野浩一選手に対して押圧、これにより中野選手が落車。この落車に巻き込まれる形で、井上選手、藤巻選手も転倒してしまいます。

一方、先頭では、片岡選手の番手を佐々木選手が国松選手を捌いて奪い、国松選手は佐々木選手の後ろ3番手に。バック付近から2センターにかけて、佐藤選手が捲りを試みますが、佐々木選手がこれを牽制。最終直線に入ると、片岡選手、佐々木選手、そして中割りを狙う国松選手の三つ巴の争いとなります。最終的に、佐々木選手が差しきって優勝。佐々木選手にとって、これが初の特別競輪(現在のGI)制覇となりました。2着には国松選手、3着には片岡選手が入りました。

山口健治選手の出場停止処分



レース後、落車した中野浩一選手は鎖骨骨折で全治2ヶ月と診断されました。この事態を受け、日本自転車振興会は、中野選手らを転倒させた山口健治選手に対し、2ヶ月間の出場停止処分を下しました。これは、累積違反がない限り異例の処分でしたが、特別競輪決勝という舞台での大量落車に加え、当時プロ・スプリントで世界自転車選手権7連覇中であった中野選手が、これにより同大会への出場が危ぶまれたことも、この処分に繋がった要因の一つと考えられます。


まとめ



第35回高松宮杯競輪は、中野浩一選手の連覇が期待される中で、波乱の展開となりました。若き佐々木昭彦選手の初制覇、そしてレース後の処分など、様々な出来事が語り継がれるレースとなりました。


参考文献



高松宮杯競輪決勝戦の成績 - KEIRIN.JP
月刊競輪 1984年8月号
* 高松宮記念杯競輪 伝統の半世紀 - SPEEDチャンネル

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