第4艦隊 (アメリカ軍)

アメリカ海軍第4艦隊

アメリカ海軍が保有する「ナンバード・フリート（序数艦隊）」の一つである第4艦隊（だい4かんたい、英語: Fourth Fleet）は、その歴史において二つの異なる活動期間を持っています。

第一次編成（第二次世界大戦期）

第4艦隊が最初に編成されたのは、第二次世界大戦中の1943年です。この時期、同艦隊は主に南大西洋で作戦を展開する責任を負っていました。当時の最も重要な任務は、大西洋を横断する連合国の商船団を、ドイツ海軍の潜水艦（Uボート）による攻撃から守るための船団護衛でした。南大西洋航路の安全確保は、連合国にとって極めて重要であり、第4艦隊はその一翼を担いました。戦争終結後、その役割は変化し、1950年までには隣接する第2艦隊に統合される形で、一旦その歴史に幕を下ろしました。

第二次編成（再創設）

約半世紀にわたる空白期間を経て、第4艦隊は約58年ぶりに復活することとなりました。その再編成が公式に発表されたのは2008年4月24日です。そして、同年7月1日にフロリダ州において正式に活動を再開しました。

再編成された第4艦隊は、その担当海域を中南米およびカリブ海を含む広大な領域に定めています。この地域におけるアメリカ合衆国の安全保障上の利益を守るため、多岐にわたる任務を遂行します。具体的な任務には、不測の事態への対応、地域における海洋安全保障の維持、麻薬密輸などの違法活動の阻止、そして域内諸国海軍との連携強化や共同訓練の実施、さらには人道支援や災害救援活動などが含まれます。

組織構造としては、第4艦隊はアメリカ海軍艦隊総軍の隷下にある部隊ですが、作戦遂行に関する指揮は、アメリカ南方軍（USSOUTHCOM）の海軍構成部隊である「南方海軍（U.S. Naval Forces Southern Command、USNAVSO）」を通じて行われます。艦隊司令部は、南方海軍司令部と同じく、フロリダ州ジャクソンヴィルに位置するメイポート海軍補給基地に置かれています。

また、ナンバード・フリートの司令官は、伝統的に中将（スリースター）が充てられるのが一般的ですが、第4艦隊においては再創設以来、初代司令官であるジョゼフ・D・カーナン少将（ツースター）以降、現在に至るまで少将がそのポストに就いています。これは、第4艦隊が担う特定の地域的役割や任務の性質を反映した配置と考えられます。

歴代指揮官

第4艦隊の歴史において、指揮を執った主な司令官は以下の通りです。

1950年までの編成時:

ジョナス・H・イングラム (Jonas H. Ingram) 海軍大将：1943年 - 1944年11月
ウィリアム・R・マンロー (William R. Munroe) 海軍中将：1944年11月 - 1945年
トーマス・クーリー (Thomas Cooley)：1945年 - 1946年中旬
ダニエル・E・バービー (Daniel E. Barbey) 海軍中将：1946年9月 - 1947年3月
チャールズ・マクモリス (Charles McMorris) 海軍中将：1947年中旬 - 1948年7月

2008年以降の編成時:

ジョゼフ・D・カーナン (Joseph D. Kernan) 海軍少将：2008年7月1日 - 2009年6月12日
ヴィクター・G・ギロリー (Victor G. Guillory) 海軍少将：2009年6月12日 - 2011年8月5日
カート・W・ティッド (Kurt W. Tidd) 海軍少将：2011年8月5日 - 2012年6月22日
シンクレア・M・ハリス (Sinclair M. Harris) 海軍少将：2012年6月22日 - 2014年4月17日
ジョージ・W・バランス (George W. Ballance) 海軍少将：2014年4月17日 - 2016年8月12日
ショーン・S・バック (Sean S. Buck) 海軍少将：2016年8月12日 - 2019年5月21日
ドナルド・D・ガブリエルソン (Donald D. Gabrielson) 海軍少将：2019年5月21日 - (情報提供時点)

もう一度検索