第41回スプリンターズステークス

第41回スプリンターズステークス：2007年9月30日

2007年9月30日、中山競馬場にて開催された第41回スプリンターズステークスは、幾多のドラマを生んだ忘れがたい一戦となりました。

レース前：予想外の展開

当初、フルゲート16頭に対し38頭もの馬が登録。海外からは3頭が予備登録していましたが、当時猛威を振るっていた馬インフルエンザの影響により、全頭が出走をキャンセル。4年ぶりに外国馬不在のレースとなりました。さらに、馬インフルエンザの流行により地方競馬との交流も途絶え、ステップ競走からの出走馬もゼロという異例の状況でした。

この影響は、有力馬の調整にも及びました。同年の高松宮記念を制したスズカフェニックスや2着のペールギュントなど、多くの有力馬の調整が遅れ、レースの行方は全く読めない混戦模様となりました。

そんな中、注目を集めたのはサマースプリントシリーズチャンピオンのサンアディユ、前年阪神ジュベナイルフィリーズで2着の実績を持つ3歳馬アストンマーチャン、そして1200メートル戦初挑戦ながら2連勝中のキングストレイルなどです。各馬の陣営は、それぞれの戦略を練り上げ、勝利を目指して挑みました。

レース当日：雨の中での激戦

当日の天気は雨、馬場は不良状態。悪天候の中、16頭の精鋭たちが、栄光を掴むため、それぞれの持ち味を発揮してレースに挑みます。アンバージャックは、騎手の柴田善臣が落馬負傷したため、木幡初広騎手に乗り替わっての出走となりました。

スタート直後はローエングリンが飛び出しましたが、すぐにアストンマーチャンが先頭に立ちました。中舘英二騎手は、アストンマーチャンの持ち前のスピードを生かし、積極的にペースを上げ、後続を突き放す積極的な騎乗を見せました。

そのままアストンマーチャンは先頭で直線へ。他の追随を許さず、力強い走りでゴールへ一直線。見事な逃げ切り勝利を収めました。2着には1番人気のサンアディユが入線しました。一方、2番人気に推された高松宮記念馬スズカフェニックスは9着と、予想外の低迷となりました。

レース結果と記録

アストンマーチャンの勝利により、中舘英二騎手は1994年のエリザベス女王杯（ヒシアマゾン騎乗）以来となるGI競走3勝目を達成しました。また、3歳（旧4歳）牝馬の優勝は、1992年のニシノフラワー以来15年ぶり5頭目となり、2023年現在も最後の快挙となっています。3歳馬の優勝は、その後ピクシーナイトが勝つまで実に14年間も途絶えることとなりました。

さらに、不良馬場という悪条件の影響か、勝ちタイムは1分9秒4。これは国際GI指定後、スプリンターズステークスの最遅記録となりました。

そして悲劇…

1着のアストンマーチャンと2着のサンアディユは翌年も現役を続けましたが、サンアディユは3月9日に心不全により、アストンマーチャンは4月21日に急性心不全により急逝。GIレースの上位入線馬の早世は、非常に衝撃的な出来事であり、競馬関係者に大きな悲しみを与えました。この出来事は、第47回皐月賞での出来事と並ぶ、不慮の出来事として記憶されています。

第41回スプリンターズステークスは、多くのドラマと、そして深い悲しみを背負ったレースとして、競馬史に刻まれました。

もう一度検索